完訳 7つの習慣-人格の回復-21
「持つ」と「ある」
自分の意識が関心の輪に向いているのか、影響の輪に向いているのかを判断するには、自分の考え方が持つ(have)とある(be)のどちらなのかを考えてみればいい。
関心の輪は、持つという所有の概念であふれている。
影響の輪にフォーカスすることは、人格を磨くことに他ならない。
問題は自分の外にあると考えるならば、その考えこそが問題である。
そのような考え方は、自分の外にあるものに支配されるのを許していることだ。
だから、変化のパラダイムは「アウトサイド・イン(外から内へ)」になる。
自分が変わるためには、まず外にあるものが変わらなければならないと考えるのだ。
それに対して主体的な人の変化のパラダイムは、「インサイド・アウト(内から外へ)」である。
自分自身が変わる、自分の内面にあるものを変えることで、外にあるものを良くしていくという考え方だ。
主体的な人は、もっと才能豊かになれる、もっとクリエイティブになれる、もっと人に対して協力的になれる、というように考える。
棒の反対側
私たちの行動は、原則に支配されている。
原則に沿って生きればポジティブな結果につながり、原則に反すればネガティブな結果になる。
私たちはどんな状況においても自分の反応を選択できるが、反応を選択することで、その結果も選択しているのである。
「棒の端を持ち上げれば、反対側の端も持ち上がる」のである。
誰でもそれぞれの人生の中で、後になって後悔するような棒を拾ったことがあるはずだ。
その選択は、経験したくなかった結果をもたらしたに違いない。
やり直せるものならば、別の選択をするだろう。
これは「過ち」と呼んでいるが、一方では深い気づきを与えてくれる。
過去の出来事を悔いてばかりいる人にとって、主体的であるために必要なのは、過去の間違いは影響の輪の外にあることに気づくことだ。
過ぎてしまったことを呼び戻すことはできないし、やり直すこともできない。また、生じた結果をコントロールすることもできない。
決意を守る
影響の輪のもっとも中心にあるのは、決意し、約束をしてそれを守る能力である。
自分自身や他者に約束をし、その約束に対して誠実な態度をとることが、私たちの主体性の本質であり、そこにもっとも明確に現れるのである。
それは私たちの成長の本質でもある。
人間だけに授けられた自覚と良心という能力を使えば、自分の弱点、改善すべき点、伸ばすことのできる才能、変えるべき行動、やめなければならないことを意識することができる。
そして、これらの自覚に実際に取り組むためには、やはり想像と意思を働かせ、自分に約束し、目標を立て、それを必ず守る。
こうして強い人格や人としての強さを築き、人生のすべてをポジティブにするのだ。
ここで、あなたが今すぐにでも自分の人生の主導権を握るための方法を二つ提案しよう。
一つは何かを約束して、それを守ること。
もう一つは、目標を立て、それを達成するために努力することだ。
どんなに小さな約束や目標であっても、それを実行することで、自分の内面に誠実さが芽生え、育ち、自制心を自覚できるようになる。
そして自分自身の人生に対する責任を引き受ける勇気と強さを得られる。
自分に、あるいは他者に約束をし、それを守ることによって、少しずつ、その場の気分よりも自尊心のほうが重みを増していく。
自分自信に約束し、それを守る能力は、人の効果性を高める基本の習慣を身につけるために不可欠である。
知識、スキル、意欲は、私たち自身が直接コントロールできるものである。
バランスを取るために、三つのうちどこからでも取り組むことができる。
そしてこの三つの重なる部分が大きくなっていけば、習慣の土台となっている原則を自分の内面に深く根づかせ、バランスのとれた効果的な生き方ができるような強い人格を築くことができる。
この続きは、次回に。