完訳 7つの習慣-人格の回復-24
描くか委ねるか
私たちの内面の奥深くにある弱さと依存心、愛されたい、どこかに属していたい、ひとかどの人物と見られたいという欲求に負けて、他者が押しつける脚本を受け入れてしまうのだ。
人生のすべてのことに第一の創造は存在する。
第一の創造によって自分の人生を自分の手で描く。
それができれば、第二の創造で主体的なあなたができる。
しかし第一の創造を他者に委ねてしまったら、あなたは他者によってつくられることになる。
人間だけに授けられている自覚、想像、良心という能力を働かせれば、第一の創造を自分で行い、自分の人生の脚本を自分で書くことができる。
言い換えれば、第1の習慣が言っているのは「あなたは創造主である」であり、第2の習慣は「第一の創造をする」習慣なのである。
リーダーシップとマネージメント:二つの創造
第2の習慣は、自分の人生に自らがリーダーシップを発揮すること、つまりパーソナル・リーダーシップの原則に基づいている。
リーダーシップは第一の創造である。リーダーシップとマネジメントは違う。
マネジメントは第二の創造である。
マネジメントはボトムライン(最終的な結果)にフォーカスし、目標を達成するための手段を考える。
それに対してリーダーシップはトップライン(目標)にフォーカスし、何を達成したいのかを考える。
ピーター・ドラッカー(訳注:米国の経営学者)とウォーレン・ベニス(訳注:米国の経営学者)の言葉を借りるなら、「マネジメントは正しく行うことであり、リーダーシップは正しいことを行う」となる。
成功の梯子を効率的にうまく登れるようにするのがマネジメントであり、梯子が正しい壁に掛かっているかどうかを判断するのがリーダーシップである。
私たちに必要なのは、はっきりとしたビジョン、明確な目的地である。
そしてその目的地に到達するためには、ロードマップよりもコンパス(方向を示す原則)が要る。
自分の内面にあるコンパスを見れば、どんなときでも正しい方向を示してくれるのである。
あまりにも多くの親が、マネジメントのパラダイムにとらわれている。
方向性や目的、家族の想いより、能率、効率やルールにとらわれている。
個人の生活ではよりリーダーシップが不足している。
自分自身の価値観を明確にする前に、能率よく自己管理や目標達成に取り組んでしまうのだ。
脚本を書き直す:あなた自身の第一の創造者となる。
主体性の土台は「自覚」である。
主体性を広げ、自分を導くリーダーシップを発揮できるようにするのが、想像と良心である。
想像力を働かせると、まだ眠っている自分の潜在能力を頭の中で開花させられる。
良心を働かせれば、普遍の法則や原則を理解し、それらを身につけ実践するための自分自身のガイドラインを引ける。
自覚という土台に想像と良心を乗せれば、自分自身の脚本を書く力が得られるのである。
自覚を育てていくと、多くの人は自分が手にしている脚本の欠点に気づく。
まったく無意味な習慣、人生における真の価値とは相容れない習慣が深く、根づいていたことを思い知らされる。
第2の習慣が教えるのは、そのような脚本を持ち続ける必要はないということだ。
効果的な脚本とは、正しい原則から生まれる自分自身の価値観と一致する脚本である。
私たち人間は、自分自身の想像力と創造力を使って、効果的な生き方の脚本を書くことができる。
第一の創造を自分で行う責任があるのであり、行動と態度の源となるパラダイムが自分のもっとも深い価値観と一致し、正しい原則し調和するように自分で脚本を書き直すことである。
また、その価値観をしっかりと頭に置いて、一日を始めることでもある。
そうすればどんな試練にぶつかっても、どんな問題が起きても私はその価値観に従って行動することができる。
私は誠実な行動をとることができる。
私は感情に流されず、起こった状況にうろたえることもない。
私の価値観が明確なのだから、本当の意味で主体的で価値観に沿った人間になれるのである。
この続きは、次回に。