完訳 7つの習慣-人格の回復-25
個人のミッション・ステートメント
終わりを思い描いてから始める習慣を身につけるには、個人のミッション・ステートメントを書くのがもっとも効果的だ。
ミッション・ステートメントとは、信条あるいは理念を表明したものである。
個人のミッション・ステートメントには、どのような人間になりたいのか(人格)、何をしたいのか(貢献・功績)、そしてそれらの土台となる価値観と原則を書く。
ミッション・ステートメントがあれば、変化に適応しながら生活できる。
予断や偏見を持たずに現実を直視できる。周りの人々や出来事を型にはめずに、現実をありのままに受け止めることができるようになる。
ロゴセラピー(生きる意味を見出すことによって心の病を癒す心理療法)の本質は、自分の人生は無意味(空虚)だと思うことが心の病の根本にあるとする考え方に成り立った心理療法で、自分にとっての人生の意味、独自のミッション(使命)を発見できるよう手助けし、患者の内面に巣食う虚しさを取り除こうとするものである。
あなたが自分の人生におけるミッションを見出し、意識できれば、あなたの内面に主体性の本質ができる。
人生を方向づけるビジョンと価値観ができ、それに従って長期的・短期的な目標を立てることができる。
個人のミッション・ステートメントは、正しい原則を土台とした個人の成文憲法である。
この憲法に照らして、自分の時間、才能、労力を効果的に活用できているかどうかを判断することができるのだ。
内面の中心にあるもの
個人のミッション・ステートメントを書くときは、まず自分の影響の輪の中心から始めなければならない。
影響の輪の中心にあるのはあなたのもっとも基本的なパラダイムである。
それは世界を見るときのレンズであり、あなたの世界観を形成しているからだ。
自分の人生の中心に置くものが何であれ、それは安定、指針、知恵、力の源にある。
安定(security)とは、あなたの存在価値、アイデンティティ、心のよりどころ、自尊心、人格的な強さ、安心感のことである。
指針(guidance)は、人生の方向性を決める根源である。
あなたの内面にある地図の中心にあり、目の前で起こっていることを解釈するときの基準である。
生活の中でのあらゆる意思決定、行動基準、原則、暗黙の規範である。
知恵(wisdom)は、あなたの人生観、生活を送るうえでのバランス感覚である。
原則をどう実践するか、個々の原則がどのように関連しているのかを理解する知力である。
力(power)は、行動する力、物事を成し遂げる強みと潜在的な能力のことである。
選択し、決断を下すために不可欠なエネルギーである。
深く根づいた習慣を克服し、より良い、より効果的な習慣を身につけるための力も含まれる。
この四つの要素(安定、指針、知恵、力)は、相互に依存し合っている。
心の安定と明確な指針は正しい知恵をもたらし、知恵は火花となって、力を正しい方向に解き放つ。
この四つが一つにまとまり、調和がとれ、個々の要素が互いを高める状態になっていれば、気高く、バランスがとれ、揺るぎない見事な人格ができる。
この続きは、次回に。