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日本型イノベーションのすすめ-①

私見  「完訳 7つの習慣」を引き続き発信致しますが、

      息抜きに「日本型イノベーションのすすめ」を

       発信させていただきます。

 

日本型イノベーションのすすめ

        小笠原泰+重久朋子

日本経済新聞出版社 2009年4月24日 1版1刷

 

まえがき

 

加速するグローバル化はパラドクスを顕在化させました。

グローバルパラドクスとは、ローカルなコミュニティから人々を均質化(共通化)するグローバルな世界へと放り込むと同時に、それ故にローカルなコミュニティの、アイデンティティの固有化(差異)をより強く意識させ、主張させるようになるというものです。

したがって固有の文化の維持を可能とする自立分散化=多様化を許容することになります。

本書で明らかにするとおり、日本人は欧米人と比較すると、文化心理学的に、不確実性へのストレス耐性が弱いので、不確実性を高める、欧米型の「意図的な変革(革新)」手法は逆効果になりがちです。

その代わり、役割を与えられ、安心して働ける環境が整備されれば、チームで「あるべき姿」(常識を超える目標)に向かって、終わることのないプロセス遂行を通して、一丸となって改善に取り組み、予想を超える成果を達成します。これが、「非意図的な変革(刷新)」と呼ぶべき日本型のイノベーション手法です。

また、日本人は、欧米のような「ひらめき」型の天才(スター)がリードするのではなく、五感という身体的判断を、頭による判断よりも重視し、チームで切磋琢磨しながら協力してイノベーションを引き起こします。

実際、「手際」「手応え」や「目利き」「みたて」など、「手」や「目」を尊ぶように、日本には「身体」で判断する伝統があります。

最近の脳科学の研究によると、脳の「身体の記憶」にかかわる線条体から「直感」は生まれ、「論理的思考」にかかわる大脳皮質から「ひらめき」は生まれるそうです。

ここには、「ひらめき」型である欧米に染まりきれない「直感」型の姿が日本の基層にあることを示してはいないでしょうか。

本書で述べるとおり、「日本型イノベーション」を考えるうえで、この錯綜・交錯の解題を通して、日本人の基底には、主体は、時間性を排除することで客体を固定化し、それを強固のもとにコントロールするという「モノ」的世界観ではなく、主体と客体は分かつことはできず、主体は客体を通して経験する(時間性を排除しない)という「こと」的世界観があることを認識することが重要である。

本書の主張は、「文化と文明」の違いをふまえ、欧米の「モノ」的世界観ではなく、「こと」の世界観に根ざした「日本型イノベーション」の技法を認識し、自覚することが日本再生の鍵であり、それがグローバル社会における日本文化を軸とした名誉ある地位を獲得することにつながるというものです。

                      小笠原 泰

                      重久 朋子

 

この続きは、次回に。

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