完訳 7つの習慣-人格の回復-36
第三部 公的成功
相互依存のパラダイム
信頼なくして友情はない。誠実さなくして信頼はない。
—-サミュエル・ジョンソン
私的成功は、公的成功に先立つ。
代数を学んでからでなければ、微積分は理解できないのと同じである。
ここまでの道を振り返り、最後に到達したい場所に続く道のりのどこまで進んだのか、
どのあたりにいるのかを確かめてみれば、今ここに来るまでは、この道しか
なかったことがはっきりとわかるだろう。
前方に広がる風景を見れば、近道をしようとして無残にも壊れた人間関係の
破片が散乱している。
自分の内面を成熟させる努力をせず、人格を磨かず、手っ取り早く人間関係を
築こうとした人たちの失敗の跡である。
実りある人間関係をそんなに安易に築けるわけがない。
一歩一歩進んでいく以外に方法はないのだ。
まずは自分に打ち克って成功していなければ、他者との関係において、
公的成功を収めることはできない。
根のない木に実はつかない。これは原則であり、ものには順序がある。
私的成功は、公的成功に先立つ。
自分を律し、自制することが、他者との良好な関係を築く土台になる。
自分自身を知り、自分を律し、コントロールできなければ、自分を好きに
なることはとても難しい。
好きになれたとしても、短期間で消えてしまう上辺だけの思い込みに過ぎない。
自分をコントロールできている人、本当の意味で自立している人だけが、
真の自尊心を持つことができる。
それは、第1、第2、第3の習慣の領域である。
相互依存は、自立を達成した人間にしかできない選択である。
本当の意味で自立した人間になる努力をせずに、人間関係のスキルだけを
磨くのは愚かなことだ。
人間関係を築くときにもっとも大切なのは、あなたが何を言うか、どう行動
するかではない。あなたがどういう人間かということだ。
人間関係を深めるテクニックやスキルがあるとすれば、それは真に自立した
人間から自然に出てくるものである。
人は自立するにつれて、主体的になり、原則を中心に置き、自分の価値観に
従って行動し、人生において最優先事項を誠実に計画し実行できる。
自立した人間になって初めて、相互依存の人間関係を選択できる。
そして豊かで、永続的な実り多い人間関係を築くことができるのである。
効果性の定義を確認しておこう。
ガチョウと黄金の卵の話を思い出して欲しい。
あの物語から引き出せるように、効果性とは、P(黄金の卵=成果)とPC(ガチョウ=
成果を生み出す能力)のバランスである。
相互依存の関係で言えば、黄金の卵は、人と人が心を開き、前向きに力を
合わせたときに発揮される素晴らしいシナジーのことである。
この黄金の卵を毎日手に入れたいと思うなら、ガチョウの面倒をよくみなければならない。
実りのある人生を生きようとするなら、人間関係を大切に育てていく努力を惜しんではいけない。
この続きは、次回に。