お問い合せ

完訳 7つの習慣-人格の回復-50

他者への脚本づけ

 

ほとんどの人は、自分の周りの人たちの意見やものの見方、パラダイムに脚本づけされている。

そのような社会通念の鏡に映った自分の姿が本当の自分だと思っている。

しかし、相互依存の状態にいる人は、他者にとっては自分自身も社会通念の鏡の一部であることを

自覚している。

あなたのこれまでの人生を振り返ってみてほしい。

すっかり自信をなくしていたとき、あなたを信じていてくれた人がいたはずだ。

その人はあなたに良い脚本を与えてくれた。

それがあなたの人生にどれだけ大きな影響を及ぼしただろうか。

もし、あなたが他者の良いところを認め、その人に良い脚本を与えることができるとしたら

どうだろう。社会通念の鏡に映った自分が本当の自分だと思い込み、

人生の坂道を転げ落ちようとしている人がいたら、あなたはその人の可能性を

信じて、坂道を登っていけるように上を向かせることができる。

その人の話に耳を傾け、その人の身になって共感する。

その人の責任を肩代わりしてやるのではなく、その人が主体的な人間になって

責任を果たせるように励ますのである。

ゲーテは次のような言葉を残している。

「現在の姿を見て接すれば、人は現在のままだろう。

人のあるべき姿を見て接すれば、あるべき姿に成長していくだろう」

 

再新再生のバランス

 

自分を再新再生するプロセスを行うためには、肉体、精神、知性、社会・情緒の

四つの側面すべてにわたってバランスよく刃を研がなければならない。

四つの側面はそれぞれに大切だが、四つのバランスを考えて磨くことによって

最大の効果が得られる。

どれか一つでもおろそかにしたら、他の三つの側面に必ず悪影響が及ぶ。

これは個人に限らず組織でも同じである。

組織の場合で言えば、肉体的側面は経済性である。

知的側面は人材を発掘して能力を開発し、有効に活用することだ。

社会・情緒的側面は、人間関係やスタッフの処遇である。

そして精神的側面は、組織の目的や貢献、組織としての一貫した姿勢を通して

存在意義を見出すことである。

個人だけではなく組織においても効果的に力を発揮するためには、四つの側面すべてを

バランスよく伸ばし、再新再生する努力が必要である。

どれか一つでも刃が鈍っていたら、それが組織の効果性と成長を妨げる

抑止力として働く。

組織でも個人でも、四つの側面のすべてをミッション・ステートメントに盛り込めば、

バランスのとれた再新再生の枠組みになるだろう。

このような継続的改善のプロセスがTQC(Total Quality Control)の核をなすものであり、

日本経済の発展を支えているのである。

 

再新再生のシナジー

 

バランスのとれた再新再生そのものが、シナジーを創り出す。

四つの側面は密接な相関関係にあるから、どれか一つの側面の刃を研げば、

他の側面に良い影響を与える。

肉体の健康は精神の健康に影響し、精神の強さは社会・情緒的な強さに影響する。

一つの刃が鋭くなれば、他の三つの側面の刃も鋭くなる。

「7つの習慣」によって四つの側面のシナジーが創り出される。

四つの側面のどれか一つの刃を研ぐと、「7つの習慣」のうち少なくとも

一つを実践する能力が高まる。

 

 

この続きは、次回に。

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