お問い合せ

完訳 7つの習慣-人格の回復-49

精神的側面

 

精神的側面はあなたの核であり、中心であり、価値観を守り抜こうとする意思である。

きわめて個人的な部分であり、生きていくうえで非常に大切なものである。

精神的側面の刃を研ぐことは、あなたを鼓舞し高揚させ、人間の普遍的心理にあなたを

結びつけてくれる源泉を引き出す。

精神の再新再生には、時間を投資しなければならない。

これは決して無駄にすることのできない第Ⅱ領域の活動である。

偉大な宗教改革者マルティン・ルターは、「今日はあまりにもすべきことが多いから、

一時間ほど余分に祈りの時間をとらなければならない」と言ったという。

ルターにとって、祈りは単なる義務ではなかった。

自らのうちに活力を蓄え、そしてそれを解き放つために必要な源だったのである。

自分の人生を自分で導くために、リーダーシップを生活の中心に置き、人生の方向、

人生の空極の目的を見つめる時間をとると、その効果は傘のように大きく広がり、

他のあらゆるものにすべてに影響を与える。

それによって私たちの精神は再新再生され、新たな気持ちになれるのである。

私が人生のミッション・ステートメントを大切にしている理由もここにある。

自分の中心と目的を明確にし、ステートメントにしておけば、たびたびそれを見直し、

決意を新たにできる。

精神を再新再生する毎日の活動の中で、ミッション・ステートメントに記された価値観に沿って

その日行うことを思い描き、頭の中で「予行練習」することができるのである。

 

知的側面

 

自分の人生のミッションを果たすために使える資源を最大限効果的に活用するには、

第3の習慣を実践し、自分自身をきちんとマネジメントできなければいけない。

継続的に学ぶこと、知性を磨き広げていく努力をすることは、

知的側面の再新再生には不可欠である。

学校に通うとか、体系的な学習プログラムを受講するなど、外から強制的な教育が

必要な場合もあるだろうが、たいていはそのようなものは不要である。

主体的である人なら、自分の知性を磨く方法をいくらでも見つけられるだろう。

知性を鍛え、自分の頭の中のプログラムを客観的に見つめることはとても大切である。

より大局的な問題や目的、他者のパラダイムに照らして、自分の人生のプログラムを

見直す能力を伸ばすことこそ、教育の定義だと私は考えている。

日頃から知識を吸収して知性を広げていこうと思ったら、優れた文字を読む習慣を

身につけることにまさる方法はない。

スケジュールを立てたり、何かを企画したりすることも、第2、第3の習慣に関わる

知性の再新再生になる。

計画を立てるのは、終わりを思い描くことから始めることであり、

その終わりに至るまでのプロセスを頭の中で組み立ててみることである。

知力を働かせ、始めから終わりまでのプロセスを思い描き、想像してみる。

一つひとつのステップを事細かく思い描くことまでしなくても、全体の道筋を

見渡してみればよい。

 

社会・情緒的側面

 

肉体、精神、知性の側面は、パーソナル・ビジョン、パーソナル・リーダーシップ、パーソナル・

マネジメントの原則を中心とした第1、第2、第3の習慣と密接に関わっている。

それに対して、社会・情緒的側面は、人間関係におけるリーダーシップ、

共感による相互理解、創造的協力の原則を中心とした第4、第5、第6の

習慣と関係するものである。

心の安定は自分自身の内側から生まれる。頭と心に深く根づいた正確なパラダイムと

正しい原則から生まれる。

心の奥深くにある価値観と一致する習慣を日々実践する誠実な生き方、

内から外へ、インサイド・アウトの行き方から生まれるのである。

人に奉仕し、人の役に立つことも心の安定をもたらす。

その意味からすれば、あなたの仕事も日ヒロの安定を与える源になる。

創造力を発揮して仕事に取り組み、世の中に貢献していると思えるとき、

あなたは心の安定を得られるはずだ。

人知れず奉仕活動をすることも同じである。

誰もそのことを知らないし、誰かに知らせる必要もない。

人に褒めてもらうことではなく、他の人たちの人生が豊かになるように

奉仕することが大切なのである。

目的は人に働きかけ、良い影響を与えることであって、認められることではない。

ヴィクトール・フランクルも、人生に意味と目的を見出すことがいかに重要であるか

力説している。

それによって自分の人生を超越し、自分の内面にある最高の力を発揮できるのである。

ストレスの研究で名高い故ハンス・セリエ博士は、健康で幸せに長生きする鍵は、

世の中に貢献し、人のためになり、自分の気持ちも高揚する有意義な活動に身を捧げ、

人の生活に喜びをもたらすことだと述べている。

博士の座右の銘は、「汝の隣人に愛されるように努めよ」であった。

同じように、N・エルドン・タナー(訳注:米国の宗教家)はこう言っている。

「奉仕とは、この地球に住む特権を得るための家賃である」人に奉仕する方法はいくらでもある。

教会や奉仕団体に属していようがいまいが関係ない。

多くの人のためになる仕事に就いているかどうかも関係ない。

少なくとも一人の誰かに無条件の愛を注ぐ機会なしに一日が終わることはないはずだ。

 

 

この続きは、次回に。

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