知識ゼロからのイノベーション入門-アップル③
第5話 自分が夢見た製品をつくる。それが世界を変えていく。
・ 楽しいハードワークは存在しない
人は、命令や権力だけでは心から動かない。
だが、本当に興味のある仕事、すべてを賭けてもいいと思える仕事なら、時間を忘れて夢中になる。
イノベーションは、そんな楽しいハードワークによってもたらされる。
マッキントッシュの開発がそうだった。
みんな1週間に80〜90時間も働いたが、それはボスのジョブズが怖かったからではなく、
プロジェクトに残りの人生を捧げてもいいと本気で思っていたからだ。
・ 働き方そのものが変わっていく
無茶苦茶に働いた当時のことを、ジョブズは「僕らは毎週7日間、毎日14時間から18時間
ぶっ通しで働いた。2年間ずっとね。
でも、みんなそれを楽しんでいた」とふり返っている。
マッキントッシュもiPodも、つくっている人間自身が自分で使ってみたくてたまらないような
製品だった。しかも、その製品で世界を変えられるかもしれない。
こんな素敵なことはない。
イノベーションは、その渦中にいる人たちの働き方そのものにも変革をもたらすのだ。
第6話 ないものについては人に聞けない。自分のビジョンを信じる。
ジョブズは、消費者が何を望んでいるかを聞くマーケティングは信じていなかった。
市場調査については「もし自動車王ヘンリー・フォードが顧客に『何がほしいか』と聞いたら、
『もっと早い馬を』という答えが返ってきただろう」とも言っている。
確かにソニーの「ウォークマン」にしても、開発の当初は否定的な反応を受けている。
イノベーションをおこすような製品は、市場に出て使われ始めてから「こういう製品が
ほしかったんだ」と気づかれる場合が多い。
ジョブズは「ユーザーは業界をひっくり返してしまうような大革命が来年起きるかと
いったことまでは教えてくれない」とも言った。
革命は、本当に技術がわかっている人間と雑音の入らないところに引っ込んで、じっくりと
模索しなければならない。
革新的な製品が市場調査や委員会方式から生まれることはほとんどない。
多数決をとれば反対され、市場に聞けば「ノー」と言われる製品をつくる決断ができるかどうか。
それがジョブズのイノベーションだった。
ジョブズの持論—-イノベーティブな製品は市場調査からは生まれない!
その理由は、
① 電話—グレアム・ペル 電話を発明する前に市場調査などしたか?
② 自動車—ヘンリー・フォード もしお客様に何がほしいかと聞いていたら、
「もっと早い馬を」という答えが返ってきただろう
③ ウォークマン
□ イノベーションを起こすような製品は、最初は否定的な反応を受けることのほうが多い。
⚪️ 市場に出て使ってみると、「こういう製品がほしかったんだ」と気づく。
「グラフィックベースのコンピュータが何か」を知らない人に、「グラフィックベースの
コンピュータはどうあるべきか」を聞くなんてどだい無理な話だ。
この続きは、次回に。