会計は「ザックリ」のほうがよくわかる! ⑤
第2章 苦手な数字を克服する ザックリ把握力 その2
〔ポイント〕
⚪️ 増減分析は「会計の名探偵」への近道
まずは、ざっとマクロ視点で主だった数字を見て下さい。
損益計算書であれば、売上がいくら、粗利益がいくら、そして営業利益がいくらかを
チェックしてみてください。そして、前月の数字や昨年の数字と比べたり、
もし可能であれば同業他社の数字と比べたりしながら、決算書のイメージを自分なりに
作っていってください。
「今年は昨年に比べると売上が大きく伸びた」
「営業利益が前月を上回った」
「同業他社が伸び悩む中、売上が伸びた」などと決算書から大きなイメージを
作ってみてください。くれぐれも、最初から決算書の全ての数字に目を通し、
経営分析の公式を使い、決算書のすべてを理解しようと思わないでください。
まずはこの数字は増えたのか減ったのかという増減分析を使いながら、大まかな
イメージを作ることに集中してください。
会計の分析の基本中の基本は、増減分析です。
実際の決算書を手に取って、まずは損益計算書で目に付いた勘定科目の増減計算を
してみてください。
その際、勘定科目同士の増減の様子にも気をくばってみてください。
すると、「売上が増え、営業利益も増えている」「売上が減っているのに、
広告宣伝費が増えている」「売上は増えたが、人件費も同じように増えたので、
営業利益は変わらなかった」などということがわかると思います。
同じように、貸借対照表の主要な勘定科目の残高の増減を、今月末と前月末、
昨年度末あるいは前年同月末で比べてみてください。
「昨年度末より借入金は増えているが、前月末よりは減っている」
「昨年度末から在庫はずっと減ってきている」などと、残高変化のトレンドを読み取れると
思います。さらに一歩進んで、決算書の中で関係のありそうな勘定科目同士の増減の
状況もチェックしてみてください。
「売掛金の回収が進んだので、現預金が増えた」
「売上が減ったのに売掛金が増えている」
「売上も増えているけれど、在庫も増えている」などと気がつくようになったら、
かなりの「会計の名探偵」ぶりです。
経営コンサルタントや監査などの高度な会計の世界でも、専門知識はもちろん必要なのですが、
そうした知識を有効利用するためにも、増減分析は重要な基本ツールなのです。
つまり、ポイントを押さえて数字の増減を分析でき、その増減の理由や状況をザックリと
説明できるようになれば、実践的な会計リテラシーはかなり身についたと言っても
過言ではありません。
この続きは、次回に。