会計は「ザックリ」のほうがよくわかる! ⑮
総額主義の原則については、損益計算書原則では、
「費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを
直接に相殺することにその全部または一部を損益計算書から除去してはならない」、
貸借対照表原則では、
「資産、負債及び資本は、総額によって記載することを原則とし、資本の項目と負債又は
資本の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない」、
つまり、収益と費用、資産と負債及び資本は、原則としてすべて両建てで表示しないと
何が何だかわからなくなってしまうので、ネット(相殺)しないでください、ということだと思います。
利子と利息、固定資産の売却益と売却損、売掛金と買掛金、未収金と未払金、固定資産と
減価償却累計額などのことです。
これらの会計原則は、少しわかりにくいものもありますが、何となくでもよいので覚えておいて
損はないと思います。そして、どこかで「会計には、こういう原則があるから—-」みたいに
試しに使ってみてください。
相手は、あなたが会計の基礎的なフレームを理解していると思ってくれます。
また、もしあなたが会計的な判断で迷われた時には、会計原則に戻って考えると
解決への何かヒントになる可能性もあります。
原則とはそういうものだと思います。
そして、これらの会計原則に基づいて作成される決算書だからこそ、利害の異なる
ステークホルダーにとっても共通のコミュニティーのツールとなりえるのです。
ただし、会計原則は、自然界の法則のように絶対的かつ普遍的なものではありません。
経済や社会が変化し、会計に対する要請が変化し、新たな会計基準が制定されたり、
会計基準が変更されたりすることもあります。
日本では、企業会計原則はもともと企業会計にとって憲法的な存在でしたが、時代と共に、
色々な会計基準が制定されていく中で、その存在意義が薄れてきたとも言われています。
しかし、会計は一般的に公正妥当と認められる会計基準だけではなく、会計原則にも基づいて
いるからこそ、ビジネスの世界では共通言語と呼ばれ、コミュニケーションの大切なツールとして
使われているのではないかと思います。
この続きは、次回に。