認知症予防学 2
目次・認知症予防学
第1章 〝なってから〟では遅すぎる認知症の予防
世界最初の認知症は51歳のドイツ女性
▶️増え続ける「若年性認知症」と「老人性認知症」
現在、医学用語としては50代前後の比較的若い年代(中年〜初老期)に発症したものを
「アルツハイマー病」と呼び、65歳以上の老年期に発症したものを「アルツハイマー型
老年認知症」と呼んでいます。
(一般的には両者を合わせて「アルツハイマー型認知症」と呼んでいます。)
また、「若年性認知症」といった場合は18歳以上65歳未満の認知症の総称をさしています
(認知症にはいろいろな種類があり、アルツハイマー病はその代表的疾患)。
「若年性認知症」というと、何か特別な症状がありそうですが、脳の気質的損傷による
障害という意味で高齢者の場合と同じものです。
高齢社会に入り、高齢者の認知症が増えたことで、若年性アルツハイマー型認知症と
老人性アルツハイマー型認知症と区別されることも多くなりました。
厚生労働省による認知症の疾患者数は2015(平成27)年には約260万人に達するものと
推計されていますが、前期・後期高齢者の発症だけでなく、若年性認知症も増え続けており、
50歳代以降の国民的な病気として広がりを見せています。
若年性アルツハイマー型認知症は脳の萎縮も速く、40歳代の患者の場合では高齢者の
2倍以上のスピードで病気が進行します。
脳にたまったタンパクは老化にともなって蓄積した〝ゴミタンパク〟と呼ばれるものです。
こうした脳の老化は20歳過ぎ頃から始まって加齢とともに神経細胞が減少してゆきます。
しかし、神経細胞の減少により記憶力がすぐ低下するのではなく、なくなった神経細胞に
かわって残った細胞が新しいネットワークをつくりはじめます。
脳の働きにとっては、このネットワークはとても重要です。
わたしたちが脳の刺激が少ない生活を続けていると、ネットワークの力が衰えて
「もの忘れ」を起こしやすくしてしまうからです。
神経細胞がたくさん失われた場合には、このネットワークが損傷し、脳内の情報伝達が
断ち切られて異常が発生します。
これが脳細胞の減少により認知機能が低下する「認知症(痴呆)」という病気です。
この続きは、次回に。