認知症にならないための 決定的予防法⑧
第三期—日常生活を送る能力の進行性の衰え
アルツハイマー第一期から第二期に進行するには1年から2年かかります。
そして、第二期から最も恐ろしい第三期に移行するのに、1.2年かかります。
ほとんどの場合、第三期のアルツハイマーは5.6年(もしくはそれ以上)つづき、患者の平均的な
余命は、最初に診断されてから8.2年ほどです。
老化すると認知症になるのか?
中年期に認知症に襲われることもあるのか?
診断されてから2年以内に、アルツハイマー患者の50%は完全に介護が必要となり、一人では
生活できなくなります。
70%の人は3年以内に福祉施設に入ることになります。
これらの患者は少なくともあと5年間は施設で孤独に、しばしば忘れ去られた状態で生きます。
過去50年間に、なぜ若年性のアルツハイマー病がこれほど増えたのかと私はよく問われます。
その答えは単純なものだと、私は思います。
われわれの豊かな社会は、欧米式の食生活に、ストレスが多く、睡眠不足で、座りがちな
ライフスタイルによって繁栄しています。
われわれ自身が自分たちの最大の敵になってしまったのです。
アルツハイマーを防ぐ処方箋はどう役に立つのか
本書における<私の最終目的>は、読者のあなたにアルツハイマー病になる危険因子を認識していただき、
心身ともに健康でいられるようにライフスタイルに必要な変化を起こしていただくことです。
<あなたの目的>は、ご自分の運命に責任をもつことです。
つまり、自分でコントロールできる危険因子を変えて、脳の想起の老化を遅らせ、アルツハイマーを
発症する可能性を減らし、子供たちにたいしては予防をすることです。
2 アルツハイマー病—発症する可能性は?
自分がアルツハイマーになるリスクを理解する
アルツハイマー病を引き起こす原因は70%以上、生活習慣だと私は考えます。
となると、あらゆる手をつくしてアルツハイマー病を避けることが、アルツハイマーを防ぐ4ステップの
処方箋を実践するうえでの、究極的な目的になるはずです。
危険因子とは何か?
危険因子は人が病気をわずらい、健康上の問題をかかえやすい状況や習慣のことです。
メタボリック・シンドローム(インスリン抵抗性症候群)の人は、アルツハイマー病を発症する
危険が大きいことが研究からわかっています。
私たちができる限り抑えなければならない二つの危険因子(1)睡眠不足と(2)抑制できない
ストレスもあります。
私はそれらを歩哨危険因子[センティネル・リスク・ファクター]と呼んでいます。
自分のやるべきことをうまくこなしていて、充分な睡眠をとって休息も得られていると感じているときは、
バランスのとれた食事と運動をつづけるのは容易です。
したがって、健康な食事運動プログラムをきちんと守れているときは、肥満、高血圧、2型糖尿病などの
問題(いずれもアルツハイマー病の外因性の危険因子を生じる確率を減らしているのです。
4ステップのプログラムでは、あなたの二つの歩哨危険因子をコントロールする簡単な戦略を
学ぶことになります。
四つのステップを予防のための作戦に使えば、脳の認知機能を高め、70代、80代どころか、
さらに高齢になっても活動的で生産的な人生を送りつづけることができます。
この続きは、次回に。