認知症にならないための 決定的予防法⑲
3 実脳年齢を測る
「それでは—-私はいつごろ、アルツハイマーになるんですか?」
スージーには濃厚な家族歴があるので、ほかの人よりもアルツハイマーになる確率が高いと
説明したとき、彼女の不安は手にとるようにわかりました。
スージーのような患者に、<いつ>アルツハイマーになるのかと聞かれると、私はすぐに
二つの真実を伝えます。
1 将来のことは、神しかわかりません。
2 みずからの将来に責任をとれるのは、自分だけなのです。
まずは自分の脳年齢を調べ、アルツハイマーを防ぐ4ステップの処方箋を初めて、
この恐ろしい病気になる可能性を減らす—あるいは状況をくつがえす—ことです。
個人的なリスクを見極める
「不公平に思えるんですよね。私にこれだけ多くのアルツハイマーの危険因子があるのは」と、
スージーは打ち明けました。
「子供たちのことが心配で、あの子たちがどうなるのか不安です」
スージーはアルツハイマーの危険因子(55ベージ)のリストを見直し始めましたが、
自分の個人的な危険因子、つまり<遺伝>から先へなかなか進めませんでした。
片親がアルツハイマー病になれば、その子供がこの病気になるリスクは10%から30%増えます。
両親ともアルツハイマーであれば、その確率は50%になります。
それでも、われわれに変えることのできる、そして変えなければならない危険因子が
あることを忘れてはいけません。
暦年齢よりも脳を老けさせる二つの歩哨危険因子(慢性ストレスと睡眠不足)および外因性の
危険因子です。
よくあることですが、<実脳年齢>はアルツハイマー病の危険因子をどれだけもっているか
しだいで暦年齢よりはるかに老けているかもしれません。
たちえば、肥満で、管理不良高血圧および2型糖尿病をわずらっていて、睡眠が不足しており、
ほとんどつねにストレスがたまっていると感じていれば、実脳年齢は暦年齢よりも10歳から
15歳は老けているかもしれません(いま50歳のひとなら、実脳年齢は60歳から65歳である
可能性もあるのです)。
それとは逆に、体重が標準で、健康的な食事をとり、コレステロール値も血圧も正常で、
刺激のある学習活動をして余暇を過ごしていれば、実脳年齢は暦年齢よりも10歳は若いかも
しれません(現在50歳なら、実脳年齢は40歳ということもあります)。
脳の実年齢はおおむねどれだけ健康管理をしているかによって決まります。
すなわち食生活、運動、学習の機会、休息とリラクセーション(四つのステップなのです。
否定することは陰謀をくわだてるようなもの
アルツハイマー病をめぐっては多くの誤解があるため、最初に診断されたときは、
ほぼすべての患者とその家族がショックをうけます。
彼らは脳が実際にいつだめになるのか知りたがります。
ほとんどの患者は、この病気が数週間あるいは数カ月間に進行したのではなく、
何年もかけて発症したことを知ると驚きます。
<アルツハイマーを治す魔法の薬はありません>。
それでも、アルツハイマー病を防いで、脳を若く健康に、かつ明晰に保つための、
化学的に実証された戦略があるのです。
⚪️ アルツハイマー病を防ぐための8つの生活習慣の改善
第1部 アルツハイマー病を理解する—3 実脳年齢を測る 91頁参照
この続きは、次回に。