認知症にならないための 決定的予防法㉓
意思の力とホルモン交響楽団
大脳新皮質が情動的な脳を制御できるかどうかは、ホルモン(同化と異化)、
神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)、および自律神経系のあいだのバランス、
調和、協調がとれるかどうかによります。
理性的な脳が感情的な欲求を満たさなければ成功しない、と言われます。
考える脳が意識的に働きつづけ、辺縁系の欲求を制御していれば、アルツハイマーを
うまく予防し、健康的で明るい人生を長く送れるようになるでしょう。
問題は年をとるとともに、有益な同化ホルモンは自然に失われ、異化ホルモンが増えるので、
ホルモンと神経伝達物質のバランスを保つのがますます難しくなることです。
生理学的に言うと、これこそわれわれのやる気が失せ、不安が高まり、新皮質の考える脳が
主導権をもつ能力が衰える理由です。
自制を保ちつづける能力がなくなっていくのです。
老化すると、脳がうまく睡眠を調整できなくなり、充分な睡眠をとるのが難しくなります。
脳が警戒心を解けないため(コルチゾールのホルモン・システム)、ストレスが
日々の圧倒的な問題となります。
ストレスを受けるために、疲労を感じるのです。
精力をつけようと、われわれは単炭水化物—-ポテトチップスやクッキー、
甘い飲料など—-をやたらと摂取します。
それでも、運動はしようとしません。
こうした要因はいずれも蓄積し、ホルモンのバランスを崩して、ホルモン交響曲で
不協和音をだすようになります。
同化ホルモンがたくさん分泌していて、異化ホルモンは抑制され、セトロニンと
ドーパミンの値が高いときは、考える脳—大脳新皮質—が支配的になります。
こうしたときには、われわれも意思の力を働かせ、ダイエットや生活改善プログラムを
守ることができます。
その反対に同化ホルモンが減り、ドーパミンとセロトニンの値が下がると、
大脳辺縁系の情動的な脳が優勢になります。
辺縁系が支配しているときは暴飲暴食し、ひどく不安になったり落ち込んだりし、
何かをやり通すことができなくなります。
脳の感情的な欲求を和らげる方法を見出せそうとするなかで、依存症におちいってしまうのです。
反対に新皮質が支配的なときは自制心をもちつづけ、健康状態を保つのに役立つ選択を
するようになります。
アルツハイマーを防ぐ4ステップの処方箋は、ホルモン交響楽団の指揮者である
インスリンの釣り合いをうまくとり、ホルモンと神経伝達物質のバランスを保つうえで
役に立つでしょう。
そうするうちに、情動的な脳ではなく、考える脳が生活のなかで決断を下すようになります。
食生活やライフスタイルの選択を賢明に意識的に下すことによって、脳の衰えを
遅らせることができるのです。
それどころか、実脳年齢を下げ(若い脳であれば、より効率的で大きな脳になります!)、
体内時計を遅らせることができます。
これは心踊る見通しだと、私は本気で考えています。
われわれは本当にアルツハイマーを防ぎ、より大きくよりよい脳をもつ選択をすることができます。
正直に言えば、知性を奪うこの病気を防ぐために現在われわれにもてる<希望はこれしかありません>。
ですから、すぐに始めましょう!
この続きは、次回に。