認知症にならないための 決定的予防法㊲
5 ステップ2—筋肉強化
心身を健康にする毎日の有酸素および無酸素運動
私が子供のころは、心身ともに健康であるということは、人びとが心底そう思い、
実践していることというよりは、単なる決まり文句のようなものでした。
私にわかっていたことは、頭脳と筋力は相反すると信じられていたのとは逆に、
筋力トレーニングをすることで、成績も運動能力も大きく向上したという事です。
脳をより強化したいですか?筋力を増加させれば、脳も賢くなります。
それどころか、有酸素運動(歩行運動など)も無酸素運動(重量挙げや筋力強化)もどちらも、
脳のためによいのです!
年をとるにつれて、ホルモン交響楽団のバランスをとり、脳の成長と予備力を高め、
歩哨危険因子(慢性ストレスと不眠)による影響を減らすために、運動はより重要となります。
年をとるにつれて、運動はわれわれのホルモンと神経伝達物質のバランスを保つために、
欠かせない要素になるということです。
運動は脳をより大きく、よりよくする
⚪️ 運動はストレスを減らす
うつ病に笑いが効くように、運動もストレスに効果があります。
ストレスは、過食症や肥満、高血圧、糖尿病、うつ病などを引き起こすうる歩哨危険因子です。
運動すると、ストレスホルモンのコルチゾールを分泌する副腎のスイッチが切れるため、
体のストレスへの反応が減ります。
運動によって血糖と、ホルモン交響楽団の指揮者であるインスリンが減ります。
運動することで、きわめて重要な神経伝達物質のドーパミンとセロトニン(<いい気分>と
<落ち着き>をもたらす神経伝達物質で、私たちの意思の力の源)がより多く生成されます。
詳しくは、7章を参照してください。
定期的な運動は、体内で循環するアドレナリンの量も減らします。
そうすることで、血管がやわらかくなり、脈搏がゆっくりになって、血圧が下がります。
運動は体内で、鎮痛効果のある分子、エンドルフィンの生成も活性化させます。
エンドルフィンは<ランナーズ・ハイ>[長時間走りつづけると、気分が高揚してくること]を
生みだす原因とも考えられており、不安、ストレス、うつ状態を軽減するうえで役立ちます。
⚪️ 運動は筋肉量と新陳代謝率を上げる
筋肉質で引き締まった体の人は見た目がよいだけでなく、カロリーもより多く
燃焼させているのです。
筋肉量は男性のほうが多いので、通常は女性よりも早くカロリーを燃焼させて、
減量することができます。
ただ、筋力トレーニングをおこなえば、筋肉量が増えるので、男性でも女性でも体重を
減らすことができます。
ですから、ソファから立ち上がって、運動を始めてください。
ジムに通えないのであれば、アイソメトリック[筋肉を動かさずに、力を加える筋トレ。
177ページ参照]をおこなってください。
この続きは、次回に。