認知症にならないための 決定的予防法㊳
⚪️ 運動は同化ホルモンの生成を促進する
運動によって、重要な同化ホルモン—甲状腺ホルモン、テストステロン、エストラゲン、
ヒト成長ホルモン、およびインスリン様成長因子(IGF)—-の分泌をうながします。
これらのホルモンは、存在するだけで若々しく見え、そう感じるようになるのです。
ところが、これらの同化ホルモンは、定期的に運動をつづけないと、年をとるにつれて
大幅に減少していきます。
たとえば、通常の加齢では、ヒト成長ホルモンは20歳から70歳までのあいだに<90%減少>します。
甲状腺ホルモン、テストステロン、エストロゲンでも、同様の現象が起こります。
しかし、定期的な運動によって、ヒト成長ホルモンの生成は年齢に関係なく刺激されるのです。
新陳代謝もやはり加齢とともに衰えます。
ところが、甲状腺ホルモンは運動することですぐに刺激され、その結果、安静時の代謝率が
向上します。
高齢者において、ヒト成長ホルモンを注射した場合と、筋力トレーニングを実施した場合を
くらべた研究でも、同様の結果がでました。
どちらのグループも除脂肪体重が14%増加したのです。
ということは、運動は多額のお金の節約にもなるわけです。
なにしろ、ヒト成長ホルモンの注射は高額ですから。
⚪️ 運動は脳の質量と容量を増やす
ストレッチ体操、歩行運動、筋力強化などの運動を定期的におこなうと、頭の回転と
記憶力が増します。
ホノルル-アジア老化研究では、71歳から93歳までの身体的に健康な男性2257人に関して、
1日の歩行距離を調べました。
研究者らは年齢ごとに調整したあと、最も歩かなかった人びと(1日に400m未満)は、
1日に3.2km以上歩いた人びとにくらべて、アルツハイマーになる危険が高かったことを
確認しました。
看護師研究調査では、ウォーキング[散歩]を含め、長期にわたって定期的な身体活動を
おこなった女性は、高齢になっても認知機能がはるかに高く、認知機能の衰えも少ないことが、
研究結果から示されています。
『老年医学会誌』で発表された別の研究では、有志の高齢者を対象に、あるグループでは
週3日、1時間の有酸素運動の訓練を受けてもらい、別のグループでは無酸素運動のストレッチと
筋力強化をおこなってもらいました。
3ヶ月後、被験者の脳を磁気共鳴画像法(MRI)で撮影してみると、有酸素運動のグループは
脳の容積が増しており、前頭葉で新しいニューロンと細胞、および白質(ニューロン間の軸索)が
増えるなど、注意力や記憶の過程に役立つ部分にそれが表れていました。
有酸素運動をした人の脳の容積は、数歳は若い人の脳のようだったと、研究者たちは
結論しています。
この続きは、次回に。