認知症にならないための 決定的予防法-55
プログラムを行動に移す—日々のニューロビクスを利用して脳の予備力を高める
ニューロビクスに関しては、不思議なことはなにもありません。
むしろ、不思議なのは日々の精神的活動をニューロビクスの運動に変える、脳の驚くべき能力なのです。
日常の習慣を少し変えるだけで、日々の暮らしに脳を鍛える訓練を加えることができます。
それでも、やる気をもって頑張らなければ、どんな脳のトレーニングも役に立ちません。
だからこそライフスタイルの選択として、このプログラムのステップ1、2、および4とともに、
ニューロビクスを利用することをお勧めするのです。
習慣となったゲームや活動より、注意力を必要とする目新しい活動に従事するようにしましょう。
本書でご紹介するニューロビクスのようなものです。
記憶
記憶を訓練する鍵は、繰り返しです。
ニューロビクスをするときは、キッチン・タイマーが役に立つでしょう。
以下のトレーニングの多くは時間や持続期間が重要なものだからです。
昔のぜんまい式タイマーでも構いませんが、デジタルのタイマーのほうが読みやすいかも
しれません。
□ 数覚え
私たちの記憶のなかには、電話番号から誕生日、住所まで、多くの数のリストが収められています。
この<数覚え>の体操では、数のリストを記憶しつづけてみてください。
最初は短い6桁の数から始めます。
その後、10桁や12桁の数の並びに挑戦してください。
□ 記憶のリスト
この記憶訓練は、子供や孫たち、近所の人たち、あるいは職場での集いの場などでおこなうと
楽しいものです。
<クリスマスの12日>という遊び歌を覚えているでしょうか?
「四羽のさえずる鳥、三羽のフランスの雌鶏、二羽のキジバト」と復唱していく歌です。
このゲームも、この遊び歌と同じパターンを踏襲します。
このゲームを一人で実行するときは、買い物リストを覚えるようにしてみてください。
そして、あとから店でそれを繰り返します。
□ 慣れない道を行く
この記憶ゲームは、車で旅行するときなどによいでしょう。
以前に行ったことのある場所へ向かっていて、いつもの道はよく知っている場合、ぜひ異なった道を
選んでみてください。
それでもまだ、目的地にたどり着く方法がまだわかるかどうか試してみましょう。
このゲームのもう一つの楽しみ方は、同じ道を通って通勤している場合に、インターネットの
地図サイトを使って新しい道順を考えみることです。
それから、その道順を覚えてください。
脳を刺激するこの優れた方法によって、新たな環境に触れ、それによって感覚がより
研ぎ澄まされるようになります。
ウォーキング愛好者であれば、どの道を行くか計画を立てずに新しいルートを歩き、
最初の場所に早く戻れるかどうか試してみてください。
これなら運動によって脳を刺激し、筋肉を鍛えられるので、さらに効果的です!
□ 脳のダンス
ダンスは脳にとっても体にとつても、優れた効果があります。
たくさん動き回って、心臓に十分な有酸素運動をさせるだけでなく、特定のステップを覚えて、
それらのステップを音楽のなかの特定のリズムと拍子に合わせなければなりません。
社交ダンスでもスイング・ダンスでも、フォックストロットやサルサでも、いずれも持久力をつけて、
筋肉を強調させ、体のバランスをとります。
そして、脳は正しいステップと動きを思い出しながら、つねに動くようになります。
地元のダンス・スタジオのレッスンに参加するか、ビデオ屋に行って「ダンス入門」のビデオや
DVDを借りてみてください。
パートナーなどいなくても構いません。ステップは一人でも覚えられるのです。
フォックストロットのような激しい踊りが身体的に不可能であれば、動きを頭のなかで再現するか、
記憶したダンスの動きを想像しながら腕を動かしてみてください。
□ 辞書の単語
これはコーヒーや紅茶を飲みながら楽しむ、早朝のニューロビクスの運動として最適なものです。
毎日、辞書からよく知らない単語を一つ選び、7.6㎝×12.7㎝の索引カード[日本では大きめの
単語カード]に書きます。
綴りと定義を覚え、その言葉をその日のあいだに五回使ってみてください。
記憶するのが上手になったら、たとえば60秒間のような時間制限を設け、その言葉の綴りと
定義を覚えてください。それができるようになったら、30秒間でも試してみましょう。
これによって脳の予備力と記憶が増すだけでなく、英語の理解力も高めることになります。
このニューロビクスをさらに難しくするには、それを新しい外国語で試してみてください。
この続きは、次回に。