認知症はもう怖くない ⑧
2916通りの組み合わせから選んだ二種類のホスファチジルコリン
パルミチン酸とオレイン酸が組み合わさった「POホスファチジルコリン」と、二つのリノール酸
(ダブルリノール酸)が組み合わさった「DLホスファチジルコリン」という二種類のリン脂質が、
シナプスの情報伝達をもっとも活性化させることがわかりました。
POホスファチジルコリンとDLホスファチジルコリンは、脳内の酵素で分解されて、脳神経細胞に
コリンと不飽和脂肪酸を届けます。
コリンは神経伝達物質であるアセチルコリンの原料となります。
不飽和脂肪酸はアラキドン酸、オレイン酸、リノール酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)などを含み、
数十種類といわれるすべての神経伝達物質の放出を刺激する作用を持っています。
また、不飽和脂肪酸は受容体の反応を増大します。いわば、神経伝達物質の栄養素です。
年をとることで脳神経細胞の数が減り、機能が衰えたとしても、DL/POホスファチジルコリンを摂取すれば、
残っている神経細胞の働きが盛んになり、衰えた認知機能を回復させることが可能なのです。
記憶力と学習力を同時に強化するDL/POホスファチジルコリン
POとDLという二種類のホスファチジルコリンは、シナプスの情報伝達を促進するだけではなく、
学習と記憶の能力を高める作用もあります。
それはまず、ラットを使った実験で確かめることができました。
POホスファチジルコリンには、「記憶力」(情報の忘れにくさ)を高める作用があります。
一方、DLホスファチジルコリンには、「学習力」(情報の覚えやすさ)を高める作用があります。
情報は、学習→記憶という順序をたどって脳に定着するため、学習力と記憶力を同時に強化することは、
認知機能を高めるうえでとても合理的といえるのです。
POホスファチジルコリンは卵黄から、DLホスファチジルコリンは大豆から、それぞれ効率よく
抽出できることが判明しました。
いわば、POホスファチジルコリンは卵黄エキス、DLホスファチジルコリンは大豆エキスです。
天然の諸品から採った成分ですから、脳作用など体に負担をかける心配はありません。
そもそも、「DL/POホスファチジルコリンは私たちの体の中にもある成分」なのですから。
ヒトでの効果判定試験で驚くべき結果!
認知症と判定されていた人が、DL/POホスファチジルコリンを服用することによって、正常範囲まで
症状が改善したことになります。
また、DLホスファチジルコリンとPOホスファチジルコリンの両方を服用したグループと、
どちらかを単独で服用したグループを比較すると、前者の方が2倍も認知機能が高まることも
わかりました。
認知症の治療薬が効かなかった人にも現れた改善効果
認知症の治療薬(ドネペジル塩酸塩)を六ヶ月以上服用しても効果がみられなかったアルツハイマー型
認知症の患者20人(男性11人、女性9人る平均年齢77歳)をタイ仕様に、アリセプトなど
ドネペジル塩酸塩の治療薬の服用を中止して、DL/POホスファチジルコリンを飲んでもらう試験もしました。
DL/POホスファチジルコリン服用前は平均11.8点だったMMSEスコアが、DL/POホスファチジルコリンを
飲み初めて一カ月後には全員が上昇し、1年後には平均19.9点にまで改善しました。
そのうち20点以上の正常範囲にまで回復した人が、20人中11人もいました。
このように、臨床的に仕様されている認知症薬が聞かない一方で、DL/POホスファチジルコリンにより
劇的な改善効果がみられた患者さんも少なくありません。
患者さんによってDL/POホスファチジルコリンはいま現在の認知症治療薬とされるドネペジル
塩酸塩よりも有効であり、「認知症の進行を防ぐ」だけでなく、「認知症を改善する作用がある」と
いうことを示しています。
この続きは、次回に。