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認知症はもう怖くない ⑳

「歯の本数が少ない人はアルツハイマー病になりやすい」という報告

 

ヒトの歯は32本あります。このうち、20本あれば、食べものの咀嚼が容易であることから、

1989年(平成元)年に、厚生省(当時)と日本歯科医師会がスタートさせたのが「8020運動」です。

この運動は、日本人の平均寿命である「80歳」になっても「20本」の歯を残しましょう、というものです。

この「20本」というのは、ヒトの乳歯の数と一致しています。

認知症と歯とは、無縁のように思われる方もいるかもしれませんか、実は、深く関わっており、

「歯の本数が少ないヒトはアルツハイマー病になりやすい」という報告があります。

名古屋大学の研究グループが行った調査では、70代後半の健康な高齢者の歯の本数は

平均9本だったのに対し、アルツハイマー病の人の歯の本数は平均3本でした。

また、残っている歯の本数が少ないほど脳の萎縮が進んでいるという結果も出ています。

疫学調査でも、正常な本数の歯がある人は比較して、歯を失うと認知症の発症率が1.9倍になることが

明らかになっています。

唾液の中には「神経成長因子」というタンパク質がたくさん含まれています。

神経成長因子には、その名のとおり、神経を成長させる(神経の軸索を伸ばす)、神経伝達物質の

合成を促進する、傷ついた神経細胞を修復し機能を回復させる、神経細胞の老化を防止する—などの

働きがあります。このような働きに注目し、神経成長物質を認知症の予防・治療に応用しようとする

試みが始まっています。

よく噛んで食事をすることは唾液の分泌を促進させます。

つまり、よく噛んで食事をすると神経成長因子がたくさん出てくるということです。

歯がなくなると、当然、充分に食物を噛むことができなくなり、唾液の分泌も少なくなります。

唾液の分泌減少にともなって、神経成長因子の分泌も少なくなれば、脳神経細胞に対する保護作用が

減弱し、その結果、アルツハイマー病発症の危険度が増大すると考えられます。

よく噛んで食事をすることは脳の衰えを予防する有効な方法です。

 

「女性はアルツハイマー病になりやすい」は本当か

 

一人暮らしの人は発症する確率が高い

 

「認知症発症には一人でいるということより、自分が孤独だと感じることが強く影響している」と

結論づけています。

「しかし、両者の関連性は不明であり、認知度は孤独だと感じた結果引き起こされるものなのか、

それとも認知力が低下した結果、孤独感を抱くのか検討する必要がある」としています。

総務省が2011年6月29日に発表した国税調査の結果によれば、わが国の一人暮らし世帯は

1588万5000世帯で、一般世帯の31%と、初めて3割を超え、「夫婦と子供」で構成される世帯を抜いて

もっとも多い世帯構成となりました。そして、65歳以上では男性の10人に1人、女性の5人に1人が

一人暮らしであるという状況が浮き彫りとなりました。

「無縁社会」とも揶揄される現代の高齢者を取り巻く問題の解決には、「地域コミュニティ」の

活性化が不可欠だと思われます。そして、孤独に過ごさず、想定外の話あいてといきいきと過ごすことは、

認知症予防という面において重要な鍵を握るのではないでしょうか。

 

 

この続きは、次回に。

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