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池上彰のやさしい経営学 1しくみがわかる ⑤

景気の「気」は気分の「気」

景気というのは、かなりの部分でこういう「気」によって左右されるというところがあります。

 

景気動向指数のいろいろ

では、その景気を具体的にどのように見ていくのか。

政府が毎月公表している「景気動向指数」というものがあります。

景気動向指数には、「先行指数」「一致指数」「遅行指数」の3つの系列があります。

 

景気動向指数:内閣府が毎月発表する。景気状況の総合的な判断指標。

 

先行指数(全12項目):新規求人数・新設住宅着工床面積・実質機械受注・東証株価指数など。

一致指数(全11項目):大口電力使用量・所定外労働時間指数・商業販売額(小売業)・有効求人倍率など。

遅行指数(全6項目):家計消費支出・法人税収入・完全失業率など。

 

「完全失業率」これは、労働力人口に占める完全失業者の割合です。

労働力人口は、満15歳以上の人口から学生や病弱者、働く意思や能力を持たない人を除いた

人口のことです。完全失業者とは、労働力人口のうち、現在は仕事をしていないけれども仕事を

探していて、仕事があればすぐに就くことができる人のことです。

労働力人口全体の中の完全失業者の比率、これが完全失業率になります。

 

完全失業率:現在仕事をしていないが給食活動をしており、見つかればすぐ仕事に就くことが

できる人のこと。求職活動をやめてしまった人はこれに含まれ、潜在失業者と呼ばれる。

 

完全失業率=完全失業者/労働力人口×100(%)

 

中国は日本より豊かになったのか—GDPって何?

景気を見るもう一つの指標に「経済成長率」というものがあります。

GDPという言葉はよく聞きますね。経済成長率とは、DGPの伸び率のことです。

昔はGDPではなくGNPが使われていました。

Nはナショナルですね。これは国民総生産。ところがいまはGDPというものを使っています。

Dはドメスティックです。これは国内総生産。さらに最近は、このGDPを国民の所得という

観点から見てGNI(国民総所得)という数字を使うようにもなっています。

 

経済成長率:GDPの前年比伸び率。一国の経済規模が年間にどれだけ増加したかを示す割合。

通常はGDPの増加率を指す。

 

GDP:国内総生産。一定期間に国内で生産された、もの・サービスの付加価値の合計額。

 

経済が成長しても景気が悪い?

国の経済に潜在的にどのくらいの成長力があるのかを見るものに、潜在成長率というものがあります。

 

潜在成長率:企業が、持っている労働力や設備をフル稼働させて達成できる経済成長率のこと。

日本は1980年代には3〜4%あったが、バブル崩壊後2%前後に低下。

2009年には日銀が1%台前半との見方を示した。

 

付加価値の合計がGDP。GDPはどうやって計算するのか。

これは付加価値を合計して計算します。

 

付加価値:企業が、ものやサービスの生産活動を行う過程で、新たにつくり出した価値のこと。

一国のGDPは国内で新たに生み出された付加価値の総額を意味する。

 

金は天下の回りもの—あなたの買い物が世の中を変える

 商品を買うということは、企業に投票するという投票行動でもあるわけです。

 

 Q 復習問題

 

第1問    あなたがつくった芸術作品を欲しいという人が大勢現れた。

      これは供給が増えたことになる。

 

                × 欲しい人がたくさんいるということは、需要が増えたということ。

 

第2問    人気バンドの演奏を聴きに、東京へ行ってきた。

             この場合の機会費用は、コンサート代金と往復の交通費である。

 

         × この場合、コンサートに行かずにアルバイトをしていたらもらえたはずの給料などの

                      ことを言う。

 

第3問    GDPとは、国民総生産という意味である。

 

               ×  GDPは国内総生産。

 

第4問  「景気が悪い」ということは、前年より国民の富が減ったことを意味する。

 

               × 経済成長していても景気が悪い場合がある。

 

第5問   景気動向指数のもととなる項目に入らないものは、次のうち1である

 

                 1  企業の景況感

                 2  大口電力使用量

                 3  完全失業率

 

         ⚪︎  1の「企業の景況感」。

 

 

 

この続きは、次回に。

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