社内プレゼン資料作成術 ⑫
Lesson 25 アニメーションでロジックを強化する
✔️アニメーションの多用は逆効果
画面の切り替え、文字の挿入——-。
プレゼン・ソフトには何種類ものアニメーション機能が内蔵されていますから、ついつい
使ってしまいがちです。しかし、これらの演出のほとんどは、社内プレゼンには不要です。
だから、「基本的には使わない」というスタンスでいるくらいがちょうどいいでしょう。
目指すのは、シンプルでロジカルなプレゼン。そして、ディスカッションで深い議論をすることです。
そのためには、余計なアニメーションは逆効果なのです。
✔️決裁者の目線を確実に誘導する
もちろん、アニメーションを使ってはならない、というわけではありません。
決裁者の目線を誘導したり、理解を助けるために効果的な場合には使用すべきでしょう。
ただし、社内プレゼンで使用していいアニメーションは極めて限定的です。
基本的には、この2種類だけを使うことをおすすめします。
<使用できるアニメーション>
- PowerPoint:フェード
- Keynote:ディゾルブ
名称は違いますが、この2つは同じアニメーション。
アニメーションの設定をかけたテキストやグラフが、フワッと表示される機能です。
決裁者にインプットしたいテキストやグラフを強調するのに効果的なアニメーションです。
PowerPointでは「アニメーション」内の「開始効果」から、Keynoteでは「アニメーション」内の
「イン」から選択します。PowerPointにも「ディゾルブ」という機能がありますが、まったく異なる
アニメーションなので、ご注意ください。また、ディバイスによって、同じ機能でもアニメーションの
うごきが変わることもあるので、必ず事前テキストで確認するようにしてください。
では、この機能をどこで使えばいいのでしょうか?
1枚のスライドのなかでアニメーションを活用することで、決裁者の目線を誘導するために
使用するのが王道です。まずグラフだけを見せて、その後、グラフが意味することを表示し、
さらに、「だから、こうすべき」というキーメッセージを見せるわけです。
口頭で伝える内容とスライドに表示する内容を一致させることで、1つずつ確実に決裁者の
理解を得ることができます。あるいは、会議参加者全員の理解の進度を揃えることができるという
メリットもあります。これは、決裁者の理解を得るために有効なテクニックですから、ぜひとも、
習得していただきたいと思います。
✔️「マジックムーブ」で最強スライドにする
スライドの切り替えにアニメーションを活用するときも、「フェード」と「ディゾルブ」を
基本としてください。PowerPointでは「画面切り替え」から「フェード」を、Keynoteでは
「アニメーション」からトラジションで「エフェクト」を、Keynoteでは「アニメーション」から
トラジションで「エフェクト」を選ぶと、切り替えアニメーションの選択をすることができます。
スライド切り替え機能には、「さざ波」「渦巻き」など、うごきが大きなアニメーションが
用意されていますが、社内プレゼンでは「余計なもの」と決裁者に判断されるため逆効果。
使用しないようにしてください。
1つだけ例外があります。
実は、「フェード」「ディゾルブ」以外に、1つだけ非常に使い勝手がいいものがあるのです。
「マジックムーブ」という機能です。ただ、これはKeynoteにのみ搭載されている機能ですから、
PowerPointユーザーには使えないものです。
マジックムーブとは、連続した2枚のスライドの間で同じテキストやグラフを使うときに、
1枚目のスライド上の位置から2枚目のスライド上の新しい位置に
移動したことを視認できるアニメーションです。
図25-1 マジックムーブの使い方①
※ 省略致しますので、購読の上ご覧下さい。
図25-2 マジックムーブの使い方②
※ 省略致しますので、購読の上ご覧下さい。
あるいは、【図25-2】のように、1枚目のスライドで3つのポイントを表示し、2枚目以降で
そのポイントを1つずつ説明していくときにも有効です。
決裁者に3つのポイントを常に意識させつつ、「今、3つのポイントのうち、このポイントについて
説明しています」ということを、わかりやすく表現することができるわけです。
このように、マジックムーブは、決裁者の理解を助ける、非常に優れたアニメーション機能なのです。
本来、プレゼン資料にアニメーションはいらないのです。
適切なデータをもとに、きちんと練り上げられたロジックが展開されていれば、アニメーションなど
なくても決裁は取れます。むしろ、プレゼンの内容がきちんと詰め切れていないから、
余計なアニメーションを使いたがる、というのが実情ではないでしょう?
ですから、5〜9枚のプレゼン資料でアニメーションを使うのは1か所、多くても2か所と考えて
おいてください。特に、新入社員などプレゼン経験の少ない人は、アニメーションは使わない
という前提で資料づくりをすることをおすすめします。
このつ次は、次回に。