超ロジカル思考 「ひらめき力」を引き出す発想トレーニング⑥
✔️ 構造がわかったら、調べてみよう
このように問題の構造を解きほどいていくと、今度は調査をかけることが可能になる。
その結果、全体としては市場が縮小しているにも関わらず、富裕層セグメントでは挙式する組数も
単価も上昇傾向にあることがわかってきたりする。
このため、富裕層向けには「組数を増やす」「単価を上げる」と言った手段を考えてみる余地があるが、
それ以外のセグメントでは「単価を上げる」といってみても、そう簡単ではないことがわかってくる。
✔️ 「分析」「ロジカルシンキング」には限界がある
問題の構造が解明されるにつれ、それまで頭の中になかったアイデアが勝手に浮かび上がり、
できること、できないことが明らかになってくる。
その中から、売上高に対して大きなインパクトをもたらすことのできるドライバーをたぐり寄せることが
可能になるのだ。ここで重要なのはイマジネーションを広げることであり、ステップ1でやった、
無意識の世界を活性化させるアプローチが応用できる。
問題をさまざまな角度から観察する、市場の中を歩き回ってみる、潜在的なユーザーと会ってみる
ことなどにより、いままで入ってこなかった刺激に触れているうち、ある日突然見えていなかった
ファクターが意識の世界に飛び込んできて、頭の中になかった解をたぐり寄せることが可能になるのだ。
つまり、自分の器を超える問題を解くためには、分析力やロジカルシンキングだけでは限界があると
いうことだ。イマジネーションを広げる力、目に見えないものを見る力こそが必要になることがわかる。
✔️ アインシュタインの問題解決法とは?
話は変わるが、アインシュタインがこんなことをいっている。
「私は地球を救うために1時間の時間を与えられたとしたら、59分を問題の定義に使い、1分を
解決策の策定に使うだろう」
アインシュタインの言葉を聞いたある大学の学長は、こんなことをいっている。
「ほとんどの人は、60分の時間を、本質的ではない問題の解決策を考えることに使って
しまっている」
つまり、ほとんどの人は問題を与えられると、まず頭の中に思い浮かんだ解決策を次々と紙に
書き出そうとする。そして、それを分類したり絞り込んだりすることに60分を費やしてしまう。
ところが、1時間の時間を使い切ってしまったところで、実は答えは自分の頭の中ではなく、
外にあったことに気づく。
目に見えない問題の構造を解明する力を身に付けることができれば、この本の中で取り上げる
天才たちに近づくことも夢ではないということだ。
✔️ ソフトバンクが立ち上げに成功した理由
ここで、ソフトバンクの孫さんの話に戻ろう。
孫さんはなぜ自分の会社を「ソフトバンク」と名づけたのか、あなたはご存知だろうか。
それは、最初パソコンソフトの卸売業から会社をスタートさせたからである。
孫さんは、パソコンソフトの将来性に着目し、メーカーと小売店を仲介する卸売業に参入したのだ。
孫さんは短期間のうちに事業の立ち上げに成功し、一時は市場シェアの8割を奪取している。
それを可能にしたのが、「問題の構造を会計する力」であった。
ここであなたにも、起業家としてスタートした時の孫さんになったつもりで、どうやって事業を
成功させたのかについて考えてもらおう。
Exercise 2-2
あなたがソフトバンクを起業した当時の孫さんだったとして、どのようにパソコンソフトの卸売業を
成功させるか考えてみてください。
⭐ ヒント 成功した状態を解明できれば、答えは自らから浮かび上がってきます。
いいアイデアは出てきただろうか。
当時パソコンソフトの最大手メーカーは先ほど述べたとおりハドソンであった。
孫さんはそのハドソンから、独占販売権を買い取るという離れ業を思いついたのである。
そのために、当時資本金を上回る大金を調達し、ハドソンに払い込んでいる。
ここで着目したのが、当時パソコンソフトの小売の最大手であった上新電機だ。
ソフトバンクは上新電機に徹底的に尽くす戦略をとって、店頭でのパソコンソフトの売り上げ増加に
貢献した。これによって、パソコンソフトの上流と下流を押さえ、太い商流を自社の中に取り込む
ことに成功したのである。こうしたアイデアは、孫さんの頭の中に初めからあったものを、
ポッと取り出してきたものではない。
市場の中を歩き回り、会ったことのない人と会い、市場の構造を解明する中から、たぐり寄せることに
成功したアイデアなのである。
この続きは、次回に。