IoTビジネス入門 ④
■ IoTのメリットとは?
ありとあらゆるモノがインターネットにつながる世界、これがIoTの世界だということはわかったと
思います(少なくともそう納得してもらえたと思います)。
ではIoTは、何がいいというのでしょうか?
すべてのモノがインターネットに接続する価値は何だというのでしょう。
今の生活を振り返ってください。洗濯機はインターネットにつながっていますか? 冷蔵庫はインター
ネットにつながっていますか?
大抵の人にとって、その答えは「ノー」でしょう。
では、「洗濯機がインターネットにつながったら便利ですか?」
「冷蔵庫がインターネットにつながったら便利ですか?」と自問してください。どうでしょう?
答えは、「イメージがつかない」という人が多いのではないでしょうか。
「IoTについて何がいいのかわからない」という人の大半は、それ以前に、「モノがインターネットに
つながるイメージがつかない」のです。
ここを理解するのに一番よいのは、事例に潜む本質を下敷きに自分のビジネスをイメージすることです。
そして、未来の社会を予見するのです。
本書では、そのような視点でモノがインターネットにつながるイメージから、その先のメリットまでを
様々な事例を通して解説します。
IoTの恩恵を受けることができるのは、自社の販売モデルが変わることだったり、ヒトの働き方が変わる
ことだったり、と様々な場面が想定されます。
必ずしも何かをつくり、そのモノ自体がすごく売れることで恩恵にあずかるとは限らない、という
ところが重要です。
さらに、社会に受け入れられるサービスというものは、押しなべて提供者にも受益者にもメリットが
ある場合が多く、片方だけのメリットを押し通してもうまくいきません。
これらのIoTビジネスでのポイントも、しっかり理解していただけるでしょう。
■ IoTを読み解く4つのキーワード
IoTを理解するには、4つの必須キーワードがあります。
IoTには、「センサー」で取得したデータを「クラウド」にアップロードし、「人工知能」が学習した
内容に従って判断し、モノが「アクチュエート」(ヒトに「フィードバック」)する、という流れが
あります。しかし、こう言われてもピンとくる人は少ないのではないでしょうか。
「センサー」「クラウド」「人工知能」「アクチュエーション(ヒトへのフィードバック)といった
キーワードは、本書を読むにあたって必要な知識となるので、事前に説明しておきます。「その辺は
知っている」というヒトは、第1部に進んでください。
⚪️ actuateとは、行動させる、働かせる、作動させる
✔️センサー
センサーは、何となくわかるヒトも多いのではないでしょうか。
たとえば、体温計を思い出してください。最近のデジタル体温計は、わきの下に挟むと数秒でピピッと
音がなり、計測が完了します。この場合、体温計の中には温度センサーが入っていて、計測した体温を
表示します。同じように、エアコンにも温度センサーが入っていて、設定された温度付近で自動的に
運転を休止します。
センサーには、温度センサー、湿度センサー、加速度センサー、照度センサー、人感センサーなど、
多くの種類があり、様々な製品の中で動いています。
そして、センサーがデータを取得することを「センシング」といいます。
センシングすることで、様々な情報を取得することができるのですが、情報を取得するだけでは価値を
生むことはありません。