医師いらずで「糖尿病」「高血圧」がみるみる良くなる治療法!⑰
35. コレステロールを避けると栄養不足やがんになる可能性も
コレステロール悪玉説は、経済を活性化させるのにはよかったかもしれません。
また、食品会社や製薬会社の人たちも、人々の健康に貢献していると信じて、コレステロールゼロの
商品や薬を売ってきたのでしょう。ただ、明らかな弊害も生んでいます。
たとえば、高齢の人たちです。
老年内科の医師によると、中高年のときにコレステロールが高めと問われて、そのまま年をとっても
肉や卵、油を避ける生活を続けている人がいるそうです。
しかしその結果、筋力の低下や栄養不足を招いて、衰弱してしまう人が少なくないと指摘されています。
そうした高齢者には、医師はコレステロールを恐れないように説得し、むしろ肉や卵、油を積極的に
摂るよう指導するそうです。
また、2009年には国立がん研究センターが、各地の住民を対象にした大規模研究で、男女共
コレステロール値が低いほど胆がんの発生リスクが高く、男性では胃がんの発生リスクとも関連が
強いと報告しました。
この解釈には議論があり、肝がん(肝炎)や胃がんになるとコレステロール値が下がることから、
コレステロール値が低いことが原因でがんが増えたわけではない、つまり原因と結果が
逆に見えているとする意見があります。しかし、こうした研究結果を見ても、「コレステロールは
低ければいい」と、単純にいい切れないのは確かです。
コレステロールを「悪」と見る一面的な見方に囚われていると、逆に健康を害する結果に
なりかねません。そうした誤解や偏見は、一刻も早く捨てるべきなのです。
36. 識者インタビユー
大櫛 陽一 東海大学名誉教授 大櫛医学情報研究所 所長
後編「医療界のコレステロール治療は間違っている!」
◉ コレステロールが高いほど本当は長生きできる
ではなぜ、LDLコレステロールは悪玉だと嫌われてきたのでしょうか?
その発端は、動脈硬化の症状の現場に彼=LDLコレステロールが居合わせたからなのです。
動脈硬化を起こした血管を調べてみたところ、その血管内にLDLコレステロールが発見されたのです。
こいつが犯人だ!となったのはいうまでもありません。
ところが、よくよく調べてみると、動脈硬化を起こした本当の原因は、血管の炎症だったのです。
LDLコレステロールがその現場に居合わせたのは、欠陥の炎症を修復する目的で、細胞膜の材料を
届けに集まっていたにすぎなかったのです。
容疑が晴れたのは最初にコレステロールが犯人とされた1843年から159年目、2002年のことでした。
ちなみに血管の炎症は、喫煙やトランス脂肪酸、高血糖、極度のストレス、老化などが容疑者として
挙げられます。
人間の身体は、およそ60兆個の細胞で構成されています。
そのひとつひとつを包んでいる細胞膜は、コレステロールとたんぱく質によってできています。
老化した細胞膜をHDLコレステロールが回収し、肝臓で精製されたLDLコレステロールが新たに
細胞に運ばれるのです。このうち、HDLコレステロールは善玉とされてきました。
コレステロール値が高くても、HDLからOKという診断がされてきたはずです。
しかし、このHDLコレステロールは、必ずしも善玉ではなかったのです。
もうひとつ、LDLコレステロールが必要以上に作られてしまう、家族性高脂血症(FH)の存在に
触れておきます。
LDL値が高くなったことを知らせる受容体の欠損がその原因ですが、薬でその数値を落とす必要が
あるケースは少ないと考えられます。
HDLコレステロールは必ずしも“善玉”とは限らない!
37. なぜコレステロールが槍玉に挙げられたのか
アメリカでは、すでにコレステロール低下医療は終焉しています。
日本の医学界はアメリカの10年遅れが常ですから、徐々にコレステロールへの誤った理解も
是正されるはずです。そんな悠長なことを、しかしあなたの身体が待ってくれるでしょうか。
医師の処方と藥に疑問を持ち、自分で判断できる目を養ってください。
第4章 まとめ
一 心筋梗塞が圧倒的に多い米国でさえ、
コレステロールの基準を緩めた
二 コレステロールは人間に必須で、
低すぎると脳出血やがんの危険もある
三 低コレステロールのまま高齢を迎えると
筋力の低下や栄養不足で衰弱する
この続きは、次回に。