医師いらずで「糖尿病」「高血圧」がみるみる良くなる治療法!⑯
第4章 コレステロールに振り回されるな
32. コレステロール値に踊らされる日本人
「コレステロールは高いと危ない」
高血圧と同様にコレステロールについても、多くの日本人がそう刷り込まれています。
そしてその結果、たくさんの人がコレステロール低下薬(スタチンなど)を飲んでいます。
ところでなぜ、みなさんはコレステロールが高いと危ないかご存じでしょうか?
それは、コレステロールが動脈硬化を促進して血管がつまる原因となり、その結果、心臓病や
脳卒中を引き起こすと考えられているからです。
検査の対象となるコレステロールには、HDL(高比重型リポたんぱく)とLDL(低比重型リポたんぱく)の
2種類がありますが、そのなかで「悪玉」とされてきたのがLDLコレステロールです。
日本動脈硬化学会が作成した「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012年版」によると、現在、
LDLコレステロールが140mg/dl以上だと、「脂質異常症」と診断されることになっています。
そして、心臓病(冠動脈疾患)の既住や糖尿病、腎臓病などの危険因子の有無に応じて、
LDLコレステロールの管理目標が決められています。
既住歴も危険因子もない健康な人の場合、管理目標は160㎎/dlです。
日本動脈硬化学会のガイドラインでも、治療の第1はタバコ、食事、飲酒、運動といった
生活習慣病の改善です。
33. 米国でさえ基準を緩めたコレステロール値
同学会は日本動脈硬化学会が作った基準は厳しすぎるとして、
2012年に「長寿のためのコレステロールガイドライン」を作成しました。
このなかで同学会は、特別なケースを除いて動脈硬化性疾患(心臓病や脳卒中など)の予防に
スタチン類(コレステロール薬)は不要と書いています。
それどころか同学会は、多くの住民研究の結果から、コレステロールは高いほうが長生きだと
主張しています。いったい、どちらを信じればいいのでしょうか。
世界的な流れを見るかぎり、日本動脈硬化学会のほうが旗色は悪いようです。
34. 悪玉コレステロールの大いなる誤解
そもそも、コレステロールは身体に悪いものなのでしょうか。
特に「悪玉」と名指しされるLDLコレステロールは、人体から排除しなければならない毒でしょうか。
そうではありません。毒どころか、脂質の一種であるコレステロールは人間が生きていくうえで
必要不可欠なものなのです。
第一に、コレステロールがないと人間はしっかりした細胞膜をつくれません。
コレステロールが不足すると細胞が弱くなって欠陥が破れやすくなり、脳出血のリスクが高まると
いわれています。
また、コレステロールは様々なホルモンや胆汁酸の材料としても使われています。
免疫とも関係があり、コレステロール値が低いと感染症やがんになりやすくなるともいわれています。
さらにいえば、悪玉、善玉という呼び方も誤解を招くものです。
善玉といわれるHDLが余分なコレステロールを肝臓に運ぶのに対して、LDLは動脈硬化の原因と
みなされたため、「悪玉」と呼ばれるようになりました。しかし、LDLは人間にとって不可欠な
コレステロールを各組織に運ぶ役割を果たしています。
それを「悪玉」と呼ぶのは、あまりに一面的な見方といわざるを得ません。
この続きは、次回に。