通勤大学実践MBA 事業計画書 ⑦
2-6 数字の正確性・整合性の重要さ
外部の読み手に対して、ビジネスプランが信用をなくす最大の理由の一つは“数字の違い”です。
1ページの中では整合性がとれているのに、同じ数字が複数ページで出てくると齟齬をきたすという
ケースはよくあります。
プラン作成側のいい分としては、「特に立ち上げ期のビジネスプランは変化するに柔軟に
対応するがゆえに、ひんぱんな変更が常である。
ビジネスプランでは全体の流れが間違っていなければいいのではないか」というものが考えられます。
しかし、これはやや甘えの入った理屈と言えるでしょう。
外部の読み手は、あなたや社内スタッフのように、行間を埋めて数字のギャツプをフォローして
くれません。たとえ、非常に環境分析の優れたビジネスプランで、そのサービスのニーズの高さや、
その企業がそのニーズをいかに捉えることができるかについてのストーリーが説得力を持って
描かれていても、ワークシート上での営業費用の計算が間違っているだけで、「数字の確認の
甘い会社だな——」といった印象を刷り込むことにもなりかねません。
シニア(経験豊富な)メンバーで運営されているベンチャー企業が提出したビジネスプランの
「全体収益計画の売上前提」と「営業計画部分での売上前提」の数字が違っており、投資家に対して
どちらの数字が正しいのかが明言できないというケースを考えてみましょう。
どれほど経験豊富なメンバーがそろっていても、またたとえ後日、電話にて正確な数字の説明を
したとしても、投資家はその企業の評価において非常なマイナスポイントを感じるでしょう。
ビジネスマンプランの一つ一つの数字の正確性・整合性は重要であり、万全を期してチェックを
してもしすぎるということはないのです。
◉ ビジネスプランが社外の信頼を失う理由 ◉
数字の不具合—-① 正確性 ② 整合性
外部の読み手は数字のギャップをフォローしてはくれない
↓
後で説明しても、マイナス評価は変わらない!
2-7 本質を突いたストーリーの必要性
前項で、「数字の整合性・正確性は重要である」と述べましたが、一方で、やたらと数字やグラフが
出てきて、その正確性、整合性はあるものの、結局何をいいたいのかわからないという
ビジネスプランも問題です。
作成側は当然、背景をよく理解しています。
そのため、いちいちその数字の位置づけ(業界の比較として大きいのか、小さいのかなど)を記入する
必要はないと思いがちです。しかし、読み手の大半はその企業や業界のことを知らないの
前提ですから、
単なる数字の羅列では、理解が困難となります。
やはり、ビジネスプランにもストーリーが必要です。
そして、それは記述の順番によってでも、また項目と項目をつなぐ文章によって語られても
よいのです。
標的市場はこれだけの規模であることを前提として、そこにはこれだけの満たされていない
ポテンシャルがあり、自社はこうした方策・サービスによりポテンシャルのこれだけの割合を
勝ち取れる。
その際の収益性は◯✕で、その収益性が勝ち取れるビジネスモデルの理由はかくかくしかじかである—–。
たとえば、このような理路整然としてストーリーをつくるのです。
関連しない情報を無理に入れる必要はありません。
さらに、そのストーリーも大きな視野で捉えたもの、つまり流れが客観的かつ本質的に見て
取れるように構成する必要があります。
細かな数字や事実は、あくまで全体のストーリーをサポートする裏づけおよび根拠として
必要なのであり、決してそれらの細切れな情報や機械的な数字の羅列のみでストーリーが
成り立つという種類のものではありません。
このことを十分認識すべきでしょう。
◉ 数字やグラフの多用は疑問 ◉
客観的データの多用
≠
説得力がある、理路整然
数字の多用よりも「何がいいたいのか」「ストーリーの流れ」をはっきりさせることが大切。
ストーリーがなければ客観的データは活かされない!
この続きは、次回に。