「フランチャイズ」ビジネス ③
利点[編集]
FC店舗は、フランチャイザーにとっては低コストでの事業拡大を可能とする。
すでに土地や店舗物件を有(あるいは供出)する形で加盟店が参入するため、取得にかかる時間や
費用を大幅に短縮できる。
そのため、新事業を急速に拡大し、ブランドを確立するための方法として、様々な業種で採用されている。
フランチャイズ展開後の収入においても、安定的なロイヤルティーが見込めるという利点を持つ。
一方のフランチャイジーにとっては、開業から実務にいたるビジネスのノウハウを比較的短期間かつ
容易に身につけられる。
しかも、フランチャイザーが持つブランド力、マーケティング力によって、初期段階から安定した
経営が期待できるという利点がある。
欠点[編集]
FC展開はフランチャイザーにとっては、多数の店舗管理を必要とされるため、各フランチャイジーの
質にばらつきが発生することがある。
そのため、計画通りの商品提供がなされない、自己のブランドイメージが傷付けられる、
といったリスクも伴う。また、フランチャイジーは直接の資本関係のない事業者であるため、
経営に問題があったと本部が判断したとしても、経営者の交代や強力な改善などができない。
フランチャイジーにとっても、ノウハウのほかに店舗の造作を本部の指示の元で作らなければならない。
外観等に関しては地元業者に仕様書通りの施工を要求すれば問題ないが、什器備品は本部から
購入しなければならないことが多いため、実勢価格より高価となる場合も多い。
結果、開業に必要な資金は、加盟料等を加味すると独自に起業する場合よりも多く必要になる場合が
ほとんどである。
販売・飲食業であれば、材料の仕入れを本部から行う場合も多く、割高となりがちである。
例えば、同業種にあたるコーヒー店がフランチャイジー化した場合、それまでベーカリー部門を
持つ地元業者から仕入れていたサンドウィッチ等を、地域性に即した、利益率の高いメニューだと
しても、提供できなくなる。
この他にも、賞味期限が迫った商品を独自判断で値下げして廃棄を防ぐという方法が禁止される等、
流通や事業展開において少なからず制約が発生し、オーナーのオリジナリティを発揮することは難しい。
また、そういった本部によるマーケティング、立地条件、経営方針等に問題があったとしても、
そのリスクをフランチャイジー側が負うことになる。
契約内容にも拠るが、原則として赤字状態であってもロイヤルティーは払い続けなければいけない。
上記理由により、フランチャイジーの出店したフランチャイズ・チェーンはフランチャイザーによる
レギュラー・チェーンよりも圧倒的に低い収益性となる。
具体例としては、ダイエーグループ傘下時代のウエンコ・ジャパンが挙げられる。
この会社は「ウェンディーズ」のフランチャイジーであると同時に、同業である「ドムドム」の
フランチャイザーでもあった。フランチャイジー契約には出店目標が設定されており、
これを達成するために「ドムドム」を閉店し、同じ場所に「ウェンディーズ」を開店すると
いったことも行われたが、フランチャイザーとフランチャイジーの収益性の違いのため、
店舗の経営は悪化した(ウェンディーズも参照のこと)。
現在、ダイエーグループは「ウェンディーズ」は手放したが、「ドムドム」は保有したままである。
さらに、一定の地域で多店舗を展開するエリアフランチャイジーも存在し、一社の動向が
フランチャイザー側の営業に大きく影響する事例もある。
たとえば、シー・ヴイ・エス・ベイエリアはもともとサークルKサンクスのエリアフランチャイジーであり、
120店舗以上を運営していたが、2012年2月末をもってフランチャイズ契約を終了し、翌3月1日からは
ローソンとの契約でコンビニ事業を展開することとなった。
また、ほっかほっか亭では、九州や東日本のエリアフランチャイジーであったプレナスと本部が
対立した結果、プレナス側がほっともっとという新チェーンを立ち上げ、当時あったほっかほっか亭の
店舗のうち60%以上がほっともっとに転換するという事態となったほか、本部もほっかほっか亭の
エリアフランチャイジーであるハークスレイの傘下となっている。
この続きは、次回に。