シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ④
第2章 ハイパー消費の時代
※ 詳細は、購読にてお願い致します。
□ ハイパー消費
✔︎ これまでにない規模で次から次に際限なくたくさんのものを手に入れることを、私たちは
「ハイパー消費主義」と読んでいる。
その勢いはとどまるところを知らず、アメリカでは今や高校よりも多くのショッピングモールが
存在する。
いちばんの問題は消費の原理そのものではない。
問題は、必要性と利便性の境目があいまいなこと、所有することで人生を定義したいという執着、
そして「手に入れなければならない」ものの尽きることのないリストだ。
ハイパー消費は、消費者が「お買い得品」をゲットするために人間を下敷きにするような犠牲を
もたらすまでに高じてしまった。
ハイパー消費を操り、これを助長するのに欠かせないのが、四つの巨大な力だ。
それは、説得の力、後払い文化、商品寿命、「あとひとつ」的心理だ。
これらの四つの力は、なぜ今のようなスピードとやり方で私たちが消費するようになったかを
知るためのなんらかのヒントになるし、次の疑問に答える助けにもなる。
「どうしてこれほど多くのものに囲まれるハメになったのか?」
● 説得の力
✔︎ バーネイズは心理学を理解した上で、効果的な「PR(広報活動/パブリック・リレーション)
マーケティング戦略」を構築した。
「集団心理のメカニズムと原動力を理解していれば、大衆に知られることなく彼らを意のままに
統制管理することも不可能ではない」と、バーネイズは記している。
気持ちよく、力強く、セクシーになりたいという欲望にうまく訴求できれば、どんなものでも
売ることができる。
彼はこのコンセプトを鼻高々に「同意エンジニアリング」と呼んだ。
私たちはこれを「説得の力」と言う。
✔︎ 「リーダーを動かすことができれば、彼らに協力の意思があろうとなかろうと、その追従者たちも
自動的に動く」こうしたテクニックを使って、彼は人々の購買パターンを変えただけではない。
長年続いてきた社会習慣をも変えたのだ。
✔︎ ふつうの人が一日に平均3,000件の広告を目にすることを考えれば、私たちが目新しいものに
惹かれ、より多くを欲しがるのも無理はない。
バーネイズのような影響力のある人々は、消費者の〝ウォンツ/wants〟を〝ニーズ/needs〟に
転換し、さらに日常の習慣に変えるシステムをつくり、それを強化する、より大きな力の一部なのだ。
□ ディドロ効果
✔︎ 現在、消費アナリストはこうした高額品への買い替えを「ディドロ効果」と呼ぶ。
※ 18世紀のフランス人作家、ドニ・ディドロ。
新しい高級ガウンが「他のすべての持ち物をガウンの高級感に釣り合うようにさせる」という
思いがけない効果を生んだように、私たちも1920年代以降、所有のスタイルには統一感(持ち物の色、
スタイル、流行感など)が必要だと思い込まされてきた。
✔︎ 「アメリカ的な生き方とは、本当の満足感を得ることではなく、満足げにふるまう人たちを
つくることなんだ」その欲望が、より多くのものを手にいれることへの絶え間ないプレッシヤーを
生んだ。
そこで企業が乗り越えなければならない壁は、簡単な支払い方法を消費者に提供することだった。
この続きは、次回に。