シェア < 共有 > からビジネスを生みだす新戦略 ⑮
第五章 所有よりもすばらしい—プロダクト=サービス・システム
物理的なモノと私的所有と自己のアイデンティティの関係性は、根本から進化しつつある。
私たちはモノ(それ自体)よりも、それによって満たされるニーズや経験を求めている。
所有するものが非物質化した形のないモノになっているため、所有そのもののコンセプトも変化し、
「自分のモノ」と「他人のモノ」と「みんなのモノ」の間が点線でつながるようになりつつある。
こうした変化によって生まれる世界では、「利用」が「所有」に勝る。
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□ 「脱所有」
アリストテレスの、「概して、持つことより使うことに、はるかに大きな豊かさがある」と
いう考え方を実践する消費者は、ますます増えているようだ。
モノをシェアすることで私たちが得をするようなサービスのアイデアは新しいものではない。
カーシェアは、新しいプロダクト=サービス・システムが、レンタルやリースやカープールから
連想される古臭いイメージとスタイルを、人々のつながりや便利さ、そして部分所有の
メリットを体験できるサービスに置き換えている、ぴったりの事例だ。
学者やデザインの専門家の間では、さまざまなスタイルのプロダクト=サービス・システム(PSS)を
どのように分類し、定義し、どう呼ぶかについて、さかんに議論されている。
本書ではこれを単純に二つの種類に分けた。
ひとつは「活用型」のPSS、つまり企業や個人が所有するものを多数のユーザーがシェアする
モデルだ。このタイプのPSSが可能な市場はたくさんあり、多くのシナリオが考えられる。
たとえば、余剰キャパシティが大きいもの(自動車や家庭用工具など)や、流行に左右されるもの
(ハンドバック)がある。
一時的に必要なもの(赤ちゃん用具や妊婦服)、また一度使うと価値や魅力がなくなるもの
(映画)や、初期コストや値段が高いという参入障壁があるもの (ソーラーパネル)も、活用型に
含まれる。
もうひとつのモデルは「寿命延長型」のPSSだ。
このモデルは、メンテナンスや修理、アップグレードなどのアフターサービスがそもそも
製品寿命サイクルに組み込まれているので、結果として買い替えや廃業の必要がなくなる。
高価なものや修理に特殊技術が必要なもの(電子機器)、見た目が大切なため取り替えたり
頻繁にメンテナンスが必要なもの(家具)などが、寿命延長型のPSSに向いている。
□ レンタル革命
活用型PSSのもっとも身近な例は、ネットフリックス[Netflix]だろう。
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□ メンバーみんなの集合知
当初、創業者たちは、メンバーが、自分たちの観た映画を他人とシェアし、それにレーティングを
つけたり、コミュニティの「友人たち」にアドバイスを与えたがっていることに驚いた。
ユーザーのコミュニティは、「数百万人のメンバーがあなたを助けます」というネット
フリックス的な精神を、自然に実践した。
現在では二十億件を超えるメンバーからの評価が掲載されている。
つまりメンバーひとりあたり200本の映画を評価している計算になる。
その結果、他ではとうてい真似のできない、価値ある「集合知」ができあがる。
これと同じ仕組みが、アマゾン[Amazon]や、製品評価サイトのエピニオンズ[Epinions]や、
エンタテイメント推奨サイトのイェルバ[Yelp]の成功につながっている。
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この続きは、次回に。