雑学-サーバントリーダーシップ②
3. 企業がサーバントリーダーシップを組織マネジメントに取り入れるメリット
それでは、実際にサーバントリーダーシップを取り入れた場合、組織にはどのような
メリットがあるのでしょうか。
✔︎ 組織のメンバーの行動を変え、生産性を向上させる
まずは、組織のメンバーの行動に変化をもたらし、結果的に生産性を向上させます。
メンバー一人ひとりの声に耳を傾け自主性を尊重するリーダーの存在により、メンバーたちの
仕事へのモチベーションがアップします。
上司と部下との信頼関係も生まれ、チームが一体となって目標達成を成し遂げようと
努力します。そうする事で、結果的に組織の生産性を向上させる事も繋がります。
【関連】「生産性向上」は日本経済の課題!知っておきたい法律や改善方法、導入事例をご紹介 /BizHint HR
✔︎ 消費者の意見に沿った経営が可能となる
過去にサーバントリーダーシップを取り入れた企業の例を見ると、これまでの組織の
ヒエラルキーとは逆の「逆ピラミッド型組織」が導入されています。
そして、このピラミッドの最上位に「顧客」を位置づける事で、常に消費者の意見を
意識した経営戦略が行えます。
顧客の事を一番理解している現場の声が尊重され、そうする事で従業員のモチベーションが
向上するだけではなく、「顧客満足」をも向上させる事ができます。
4. 部下の行動における、従来型との違い
従来の「支配型リーダー」と「サーバント(支援型)リーダー」、それぞれに従う部下の、
行動における違いを8つの視点から見てみましょう。
| 支配型リーダーの部下の行動 | サーバントリーダーの部下の行動 |
行動動機 | 恐れや義務感 | 自主的な「やりたい」気持ちから |
行動順序 | 指示命令を受けてから行動 | 言われる前から行動 |
アウトプット方法 | 言われた通りに言われたことだけ | 自身で創意工夫できるところを見つけ、アウトプットする |
業務遂行時の 対リーダーとのコミュニケーション | リーダーの機嫌を常に伺う | やるべきことに集中する |
リーダーから受ける指示の解釈 | 役割や指示内容に集中し、それだけを聞く | リーダーの示すビジョン、 やりたいこと(目的)を意識する |
業務遂行過程の リーダーとの関係性 | リーダーに従っている感覚 | リーダーと一緒に行動している感覚 |
リーダーとの信頼関係 | リーダーをあまり信頼しない | リーダーを信頼する |
業務を経て身につく教育へのスタンス | 自己中心的、支配的な姿勢を身につけやすい | 周囲の役に立とうとする姿勢を身につけやすい |
✔︎ 従来型(支配型)リーダー
支配型リーダーに対して、部下は恐れを感じており「義務感」で指示に従っています。
そもそもリーダーを信頼していないため、言われた事しかせず、自主的に動く事が
ありません。また、リーダーへの恐れから常に機嫌を伺っており、業務への集中力に
欠けます。そして、そのようなリーダーの元で育った部下は、また支配型リーダーとして
新たな部下の上に立つ事になります。
✔︎ サーバント(支援型)リーダー
サーバントリーダーは部下から信頼を得ており、同じ目標に向かって共に邁進しています。
部下は安心して「やるべき事」に集中でき、自主的に工夫しながら行動します。
そうする事で、結果的に組織の生産性の向上にも繋がります。
また、サーバントリーダーの元で育った部下は、奉仕的な姿勢を身につけやすいとも
言われています。
【参考】日本サーバントリーダーシップ協会「サーバントリーダーシップとは?」
5. サーバントリーダーシップ10の特性
それでは、サーバントリーダーシップにおける10の特性をご紹介します。
◎ 傾聴
「傾聴」は、10の特性の中で最も重要です。まずは、人の話にしっかり耳を傾けます。
そして、相手が本当に伝えたい事を聞き出し、そのためにはどうすれば良いのかを考えます。
また、自分自身の心の声にも耳を傾けます。
【関連】「傾聴」 /BizHint HR
◎ 共感
誰しも完璧ではないという事を理解した上で、まずは相手の立場に立って考え、
相手を受け入れて気持ちを理解します。
◎ 癒し
相手の心の傷を無くし、その本質的な力を回復させます。
組織の中では、欠けている部分を補完し合えるような状態を言います。
◎ 気づき
物事を敏感に感じ取り、その本質を見ます。そうする事で自身も気づきを得られ、
相手にも気づきを与えられます。
◎ 納得
自身の権限を使って服従させることなく、相手に同意を得ながら納得させます。
◎ 概念化
組織の将来を見据えた目標を持ち、それを相手にも分かりやすく伝えます。
◎ 先見力
今起こっている事や過去の事例などから、今後の展望を予測します。
◎ 執事役
相手より一歩引いた立ち位置を心がけます。自身の利益よりも、相手が利益を得る事に
喜びを感じます。
◎ 人々の成長への関与
メンバーそれぞれの可能性や価値に気づいていて、それぞれの成長を促す事に深く関与します。
◎ コミュニティづくり
メンバーに対する愛情にあふれ、それぞれが成長できるコミュニティを作ります。
【参考】日本サーバント・リーダーシップ協会「サーバントリーダーシップの10の特性」
この続きは、次回に。