ビジネスプラン参考資料-③の4「バランスの良い食事」と「認知症予防」
認知症の決定的な予防法は見つかっていない
● 認知症予防の研究はどこまで進んでいるのか
現在、さまざまなアプローチで認知症予防の研究が進められています。
「効果が期待される」と言われる方法もあるようですが、決定的な予防方法は、
実はみつかっていません。
多くの認知症予防の研究は、特定の生活習慣や食品を生活に取り入れているグループと、
そうでないグループを一定期間追跡調査し、認知症の発症率を統計的に比較する方法を
とっています。
しかし、認知症の発症には、その生活要素以外にも多くの要因が絡むため、
簡単には結論が出せないことが多いようです。
効果があると謳われている予防やトレーニング法も、研究対象とした人数が少ない、
調査期間が短いなど研究に課題の多い場合もあり、万全な成果を出しているとは
言い切れないようです。
ただし、現時点で科学的に完全に実証されていない方法が、全く効果がないと
明らかになったわけでもないのです。
1つの予防法の効果が証明されるまでには長い期間が必要です。
ご本人が楽しく取り組めるものなら積極的に試し、ご本人の取り組み方のポイントを
つかみ、生活に活かすことが実用的で賢い考え方かもしれません。
みんなで取り組みたい認知症予防
● 遠く離れた両親にしてあげたい認知症予防
遠く離れたご両親は、どんなものがお好きで、どのような人々とつきあって
いらっしゃるでしょうか?
まずは、ご両親に興味をもち、情報を少しずつ集めてみましょう。
いま夢中になっておられるもの、昔やりたかったけどあきらめた活動、
よくわからないけど試してみたい新しい趣味や場所はなんでしょうか?
そこに認知症予防のヒントがあると思います。
それらのことを、なじみの地域で、なじみの顔ぶれで、いつまでも続けられるように
手助けすることこそ、素敵な認知症予防だと思います。
● 認知症予防はいつ始めてもOK
認知症は高齢のある時点から突然始まるのではなく、50代後半くらいから
少しずつ始まると言われています。
また、認知症の人と、そうでない人との境界線はとてもあいまいなものです。
認知症の軽度の時期は、目立った症状もなく、画像診断など医学的診断法でも
そう簡単には認知症を発見できません。
認知症一歩手前の状態といわれる軽度認知障害(MCI)の人も増えていますが、
生活に支障なく過ごされている方もたくさんいます。
この意味で、認知症予防は全ての人のためのものであり、若い方も、認知症ではない方も
認知症予防に興味をもつのは、至極妥当なことなのです。
● 認知症への恐怖を取り去ることも「予防」のひとつ
認知症予防に取り組まれる動機のひとつとして「認知症は恐ろしいものだ」
「認知症になったら終わりだ」という思いがあるかもしれませんが、それは決して
正しくありません。
認知症になってもならなくても、ご本人はご本人らしく、ご家族はご家族らしく、
それぞれの生活を豊かに送ることができます。
その手段やきっかけとして、認知症予防とされる活動や工夫を活用してもらいたいのです。
● ささやかな日常生活こそが認知症予防
認知症予防は、特別なことではありません。
これまでに挙げた、食生活の改善や運動習慣、趣味活動などを無理のない範囲で
取り入れ、ちょっとしたさまざまな工夫を、長い時間続けることで、ようやく
効果が期待される、そんな地道な取り組みなのです。
この続きは、次回に。