書籍「10年後の自分」を考える技術 ⑭
✔ 不確実性は「場合分け」して考える
しかし、そうした「ほぼ確実にやってくる未来」だけが世の中を形作って
いるわけではない。
確実に起きることの反対の要素が「不確実性」である。
不確実性とは、起きる可能性はあるが、どう変化するかの「方向性」や
「発生確率」が明確にはわからないものだ。
こうした場合、不確実性の起こりえそうな「結末」を分けて考える必要がある。
たとえば、革新的な技術を使った商品が開発されたとしても、それが市場に
受け入れられるかどうかは、まったく不確実だ。
ただ、「次世代DVDの登場」といった変化は確実なものであったとしても、
「その規格」については当初、不確実性が高かったのである。
この場合、不確実性の「結末」は、
1. ブルーレイ規格に集約される
2. HD-DVD規格に集約される
3. 集約されずに、いくつかの規格が乱立する
のパターンに分けられるだろう。
このように不確実性をパターン分けして考えることを「未来の〝場合分け〟」と呼ぶ。
そうではなくて、起こることは想像でき、また起こる可能性もありそうだから、
その「結末」が何パターンかに分かれそうなことについて、一度真剣に
考えてみようと提案しているのだ。
✔ 未来の不確実性は、どうやって見つけるのか?
不確実性の種類は特定のものと決まっているわけではない。
「技術の進化」「社会の変化」「市場の変化」「政策の変化」「競争環境の
変化」など、さまざまなものが挙げられる。
もちろん個人レベルでも、「親」「子ども」「家庭環境」「住居環境」「仕事」
「健康」など、さまざまなものが不確実だ。
✔ できるだけヌケ・モレのないフレームワーク(思考の枠組み)をうまく使うのだ。
新聞の紙面構成を考えてほしい。
社会面、経済面、地域面など、私たちをとりまく環境に関するニュースが
できるだけヌケ・モレのないように構成されている。
こうした社会環境(これを専門用語では「マクロ環境」と呼ぶ)について
ヌケ・モレなくカバーするフレームワークには、「SEPTEmber(セプテンバー)」
と呼ばれる者がある。
社会(Social)、経済(Economic)、政策・規制(Political)、技術(Technological)、
地球環境(Ecological)の頭文字を取ったものであり、これである程度全体を
カバーできるのだ(語源は語呂で覚えやすくしてあるだけで、「9月=セプテンバー」
とはなんの関係もない)。
最近では、これに国際貿易(Global)を加えるケースも出てきている。
企業でシナリオ・プランニングを実践する場合には、こうしたマクロ的な
社会環境に加えて、自社をとりまく状況(ミクロ環境)についても考える必要がある。
その際には、「ファイブ・フォース(5Forces)」と呼ばれる「業界構造分析」の
フレームワークがよく使われる。
やはり詳細は専門書にゆずるが、「競合他社の動き」や「顧客の動向」などを
ヌケ・モレなく考察できる「枠組み」をうまく使うということだ。
私たちが、自分の未来を考えるうえでヌケ・モレなく考えることのできる
フレームワークには、どんなものがあるだろうか?
「衣・食・住」なら、すぐに思いつきそうだ。
自分の将来に影響を与える可能性があることで、考えておかなければならない
ことは、いったいなんだろうか?
第1章で触れた「強制発送」の考え方がここでも役に立つはずだ。
ぜひ、いろいろな入門書を読むことで、一度学んでほしい。
この続きは、次回に。