書籍「10年後の自分」を考える技術 ㉖
✔ 選択肢が広がるほうを選ぶのが鉄則
第3章のポイントの2つ目として、「不確実な状況下での、意思決定の
考え方」について話をしておきたい。
これだけ変化の早い時代に、「すべてを事前に決めて、あとは行動するだけ」
という考え方は通用しない、「できるだけ選択肢が広がるような意思
決定をする」ことがキーポイントになるのだ。
とすると、さきほどの質問の答えもおのずと見えてくる。
「好き・嫌い」「役に立つ・立たない」といった基準ではなく、選択肢が
広がるほうを選ぶことが鉄則となるのだ。
「決断する」というと、「もう俺はこれに決めたんだ!」 などとひとつの
選択肢に絞って、そこに全精力を集中するような職人的イメージがあるが、
気持ちの問題としてはそれでよくても、選択肢を狭めるほうに意思決定を
してしまうと、のちのちアウトになる可能性が高い。
いま、不況下での安定施行が理由なのか、公務員志望の若者が増えているという。
これも、自分なりの使命感や夢にもとづいて、つまり、明確な理由で
そのように選択しているのであれば問題はない。
しかし、多くの若者が消極的な選択の結果として、安定志向で公務員を
志望してはいないだろうか?
いまや、公務員ですら将来が安定しているとは限らない時代なのだ。
今の決断が、将来の選択肢の広がりの芽を摘むことになっていないか、
よく考えてみるべきだろう。
✔ 時間を入れ替えるだけでも可能性は広がる
※ 省略致します。
まわりがやっているからという理由だけで、深く考えずにアルバイトに
精を出すという思考停止に陥ってはいけない。
もし金銭的になんらかの目途がつくのであれば、まったくアルバイトをせずに
別の活動に勤しむというのも、取るべき選択肢だと言える。
✔ 人生は「小さな意思決定夢の積み重ね
結局、こういった日々の「小さな意思決定」を積み重ねていくことでしか、
自分の望む未来は手に入れられないのではないか、と私は考えている。
大きな意思決定をドカンと一発行ってすべてがうまくいくようになる、
なんてことは、メディアがつくった虚構にすぎないだろう。
※ 省略致します。
成功者というのは、そうした苦い経験をベースに、日々の細かい意思決定が
できるようになった人のことを言うのではないだろうか。
そう言う意味では、「若いときの失敗は買ってもせよ」と言うことかも
しれない。
若いときの小さな失敗ならダメージも大きくなく、「失敗から学ぶ」メリットの
ほうが大きい可能性が高いからだ。
時間の入れ替えといった小さなことでもかまわない。
日々、何か決断するときには、小さな意思決定を疎かにせず「考えてみる」クセを
身につけてほしい。
✔ 自分の人生の「ロールモデル」を設定しよう
いま、成功者の話を例に出したが、先例のない不確実な時代に偉人を
参考にしろと言われても、あまりピンとこないかもしれない。
そんなときは、身のまわりに「その背中を追いたい」と言うお手本となる人が
いるといいだろう。
こうした手本は「ロールモデル」と呼ばれるが、どうやってそのロールモデルを
設定したらいいのか?
まずロールモデルの対象だが、職場の先輩や上司、ボランティア活動先や
趣味で知り合った人、またはすでに有名人となっていて活躍している人などが
対象となるだろう。
どのくらい年上が良いのか?
私の答えは、10歳〜15歳くらい年上の人だ。
自分の親と自分の年齢のちょうど中間くらいの年齢の人である。
父や母の世代が何を考え、どう生きてきたかは、親とじっくり話をすることで、
その気になれば学生時代の間に知ることができる。
つぎに、そうしたロールモデルに出会ったときに、どのようにその「背中」を
追えばいいのか?
大事なのは、「その人が、自分の今の年齢だったとき」と「今の自分」を
比較することである。
いたずらに自分の無力さに落ち込むのではなく、ロールモデルに向かって、
これからどんな行動をしていけば良いのかを考えると、行動のモチベーションは
上がってくる。
ぜひ、みなさんにも身近なロールモデルを設定してもらいたい。
絶対にどこかに「いる」はずだ。
あきらめずに探してほしい。
この続きは、次回に。