書籍「10年後の自分」を考える技術 ㉗
✔ 手に職をつければ本当に「つぶしがきく」のか?
本当の意味で「つぶしがきく」というのは、さきほど話した「選択肢の
広がり」を手に入れている人だろう。
具体的には、今後はなんらかの「柱」を2本以上持つことが必要になる。
柱とは、専門性と言い換えてもいいだろう。
そしてそのためには、柱を増やすための「学習能力」を育む必要もある。
はじめは、1本目の柱に「強み」をつけることだ。
それは、弁護士でも、スポーツ選手でも、シェフでもかまわない。
これからの時代観のなかで、やりたいこと、やっていけそうなことを選び、
そのなかでプロになることをまずは目指そう。
ただ、話はそこで終わらない。
最初から決めておく必要はないが、2本目の柱が、今後はますます重要に
なってくるのだ。
それも、1本目とは関係がない2本目でなく、2つが「掛け算」になることで、
相互の強みが増すような2本目を選ばなくてはならない。
具体的にはどういうことか?
企業に勤めている人にとっては、自分の出身分野に加えて、最低もう一分野に
明るくなるか、グローバル性に秀でるか、ゼネラル・マネジメント能力を
磨くか、などといった2本目の柱を探すことになるのではないだろうか。
このように、互いに近しい領域で2本目の柱を持てるようになると、
「オンリーワン」のプロになっていく可能性が高くなる。
そしてそれこそが、本当の意味で「つぶしがきく」ということだ。
「コンサルタントに答えを出してもらおうなんて思うな。まず自分たちで考え、
仮説をつくり、その検証を手伝ってもらったり、進め方についてアドバイスを
もらったりするのが、正しいコンサルタントの使い方なんだ」
この言葉が、私がコンサルタントになるときの指針となり、その後の信念と
なった。
今でこそ、思考のプロセスを支援する言葉として「ファシリテーション」や
「ワークショップ」といった言葉が一般的になっているが、その頃はほとんど
知られていなかったように思う。
どうだろう、選択肢を増やしつつ2本目の柱を持つことの意味合いを
多少なりともわかっていただけただろうか?
けっして、単純に「手に職をつければいい」わけではないのだ。
✔ 計画は「修正」を前提に立てる
この章の3つ目のポイントである「行動力を上げるための具体的計画手法」に
ついての話だ。
ここでは、「修正を前提とした計画づくり」というのかポイントになる。
「やり直し」や「遅れ」を前提に行動計画を立てておけば、気持ちが楽になる。
予定通りに計画が進まなかったとき、やり直すことはけっして恥じる
ことではない。
やはり、全てを事前に決め込むのは無理だと割り切るくらいの気持ちが
必要だろう。
修正案を、より良い案のためにバージョンアップしている感覚で捉えられる
ようになるといい。最後に帳尻さえ合えばいいのだ。
それくらいの気軽さで何も問題ない。
ここでは、今日からでも使える、きわめて有効な手法を2つ紹介したい。
1つ目は、ポストイットなどの付箋を使って徹底的に要素分解する
「ブレイクダウン法」であり、2つ目は、要素同士をつなぐ「アロー
ダイアグラム法」だ。
ポイントは、漠然としたやるべきことを、具体的なレベルにまで「要素分解」
することと、それらを計画の全体像とのつながりを明確にしたうえで実際に
こなしていって、状況に応じて「修正」していくことである。
人が「自分には行動力がない」と不安で仕方なく感じるとき、不安の対象が
絞り込めずに「漠然としている」ことが理由であることが多い。
そんなときは、「はじめの一歩」さえ明確になれば、行動しやすくなる。
そして、随時、修正を加えていくことで、必ずゴールまでたどりつくことも
できる。
そのためのツールを紹介していこう。
この続きは、次回に。