不測の時代の良い会社 ①
日経新聞(2020.8.11)に掲載された記事で、気になった内容がありました。
ご紹介したいと思います。
日経新聞 2020.8.11
不測の時代の良い会社 本社コメンテーター 中山 淳史
「PDCAを徹底して業績目標を必ず達成する」。
最近の企業の四半期決算発表で経営者の口からこんな言葉を何度か聞いた。
PDCAとはプラン、ドゥー、チェック、アクト(計画、実行、評価、改善)の略だ。
—-インターネットより—
● PDCAサイクルとは
プラン(計画)→ドゥー(実行)→チェック(評価)→アクト(改善)→プラン(計画)→繰り返す
米国人のデミング博士らが品質管理手法の一環として考案。
品質管理(QC)で知られる米国のエドワーズ・デミング博士らが1950年代に
提唱した経営手法の一つで、日本では90年代までの成功体験もあり、
「PDCAを徹底する会社=良い会社」の図式で考える企業が今なお多い。
—-インターネットより抜粋—
・品質管理(QC)とは、
品質管理(ひんしつかんり、QC、Quality Control)は、顧客に提供する商品
およびサービスの品質を向上するための、企業の一連の活動体系。
間違っているとはいえない。だが誕生から60年以上が経過し、PDCAは
スピードが鈍い、手順重視の傾向が強く現場社員が思考停止に陥る、などの
問題が指摘されているのも事実だ。
特に時々刻々と状況が変わるこの局面でPDCAはどれだけ有効なのだろうとの
疑問が正直ある。
世界を覆うコロナウイルスの感染拡大がいつ収束するかが見えず、異常
気象の追い打ちも続く時に何を計画し、どう動き、どんな的確な見直し作業が
組織を挙げてできるのか。
全員で誤った方向を向かないよう、かなりの注意が必要なように感じられる。
人口知能(AI)研究が長く、企業のデジタルトランスフオーメンション(DX)にも
詳しい日立製作所の矢野和夫フェローが面白い指摘をしている。
一般に経営者が経営計画づくりで頼りにするのは過去のデータだが、
「そこからでは意味のある未来予測はできない」という。
重要なのは現在起きていることであり、「そこに突然変異的な出来事が
存在することがわかれば目をつぶらずに真剣に未来への影響を考えること」
だそうだ。なぜ過去に意味がないかといえば、終わってしまった情報としての
価値を損なったのに加え、企業のデータ解析では、時々表れる突然変異的事象を
除外することが一般的だからだ。
PDCAを回そうにも計画の前提から貴重な情報が消えているわけだ。
アカデミズムの世界ではよくあることだという。
—-インターネットより—
アカデミズムとは、
1. 大学などでの、理論を重視し、学問・芸術の純粋性・正統性を守ろうと
する立場。ジャーナリズムに対比して用いられることがある。
2. 学問・芸術の、保守的、形式主義的傾向。
例えば、統計学ではデータに潜む一貫した傾向や普遍性が重視され、偶然
起きた結果ではないことを論文で証明しないといけない。
そうした「偶然でないこと」は「統計的有意」と呼ばれ、英ネイチャーなど
権威ある科学誌にも統計的優位性を論文で示すことが求められている。
だが、ウイルスとの闘いや経営現場では世界が逆転する。
起きていることの中には過去データをあたっても把握できないことが多数存在し、
危機の予測や事態の打開に貴重な示唆を与えてくれる情報が多くなる。
経営でいえば、そうした状況下で過去の延長線上に計画を固めてしまっては
危険だ。むしろ起きている事実を見極め、臨機応変に軌道修正する。
PDCAを使うにしてもそういう姿勢がないと失敗の可能性が広がる懸念がある。
この続きは、次回に。