ブランディングが9割 ⑦
・現実から理想へ、それがブランディング活動
まずステップ1で行うのは、ブランドの現状分析です。
現在自分のいる位置がどこなのかという「現実」と、どこに行きたいのかと
いう「理想(目指す姿)」を、「自社」「顧客」「競合」の3つの視点で、
できるだけ正確に把握していきます。
多くのブランドには、「理想」と「現実」にギャップがあります。
ステップ1で大事なのは、課題は何か、どうすればそれを克服してブランドの
価値を高めることができるのかを分析し、どうすべきかを考え、実行していく
ことです。
この高い理想を求め、理想と現実のギャップを埋め、課題を解決し、価値を
高めていくことがブランディング活動です。
✔ ブランディングの現状を分析し、戦略を立てる
理想と現実の「現実の姿」をより正確に把握するために有効なのが、ブランドの
現状分析です。先に触れましたが、現状分析は「自社」「顧客」「競合」の
3つの視点で行います。
自社(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の頭文字「C」を取って、
3C分析とも言われています。
3つの視点で見るのは、自分たちが「今は最高の理想型の状態」と思っていても、
受け手のお客さんがそう思っていなかったり、それを望んでいなかったりすれば、
単なる独りよがりになってしまうからです。
■ 自社分析 Company
自社分析では、自社ブランドの強みや課題点を明確にします。また、自社
ブランドのブランド資源(リソース)は何か、ビジョンやミッションは何か、
企業理念にもとづいているかなどを把握します。
競合と比較して勝てているところ、競合がきても負けないところはどこかなど、
自社の強みとなるところを探し出すのでポイントです。
■ 顧客分析 Customer
顧客分析では、ターゲットとなる顧客は誰か、顧客は何を求めているかを
明確にします。また、顧客にとっての価値は何か、顧客のトレンド、顧客は
自社や競合のブランドのことをどう思っているのかを把握します。
顧客のホンネ部分や、顧客自身がまだ気づいていない潜在的なニーズなど、
顧客のインサイト(顧客がホンネの部分で求めているところ)を導き出すのが
ポイントです。
■ 競合 Competitor
競合分析では、自社が戦おうとする市場において、競争相手のブランドの強みや
課題点が何かを明確にします。また、自社にできず、競合が顧客に提供できて
いる価値は何かも把握します。
自社と競合とを比較し、競合と差別化できるところを探し出すのがポイントです。
「自社の強み」を生かし、「顧客のホンネ」を探り、「競合と差別化」できる
ところを探していきます。
そして、この「自社」「顧客」「競合」3Cの視点をもとに、「どうすれば
勝てるか」という戦略を立てていきます。
「自社」「顧客」「競合」それぞれを独立して見るのではなく、「自社の強み」を
生かし、「顧客のホンネ」を探り、「競合と差別化」できるところを探して
いきます。
マーケティング戦略ではなじみのある3C分析ですが、ブランディングに
おいても同様に、この3Cで現状分析を行ってから、「自社」ではどうすべきか
という内部環境の分析を行います。しかしそれは、顧客ばかりを見過ぎ、
顧客のニーズが一般化し、競合との差別化が難しくなるという問題をはらんで
います。
ブランドには「らしさ」「こだわり」「独自性」といったものがとても重要です。
強いブランドにはこれらが必ずあります。
これらがあるからこそ、お客さんからの共感が生まれるのです。
そしてブランディング活動で「らしさ」「こだわり」「独自性」を築いていく
ことによって、ブランドの価値が上がっていくのです。
ブランドの3C分析では、どこの市場で戦うかを決めたあと、自社の強みを
中心に考えるとよいでしょう。また、3C分析は、「自社」「顧客」「競合」の
ように順番で分析して「はい終わり」としないようにしましょう。
分析のための分析にせず、あくまで「提供価値は何なのか」を軸にします。
そのために、「自社」「顧客」「競合」それぞれの分析を行なったり来たり
することや、「自社-顧客」「顧客-競合」「自社-競合」それぞれの視点で
考えることがとても重要です。
この続きは、次回に。