ブランディングが9割 ⑯
第4章 競合との最大のちがいは何か?
<差別化/ポジショニング>
✔ 守りか攻めか、競合を見て判断する〜ブランドの戦略的位置づけ
数あるブランドの中からお客さんに選んでもらうには、自社のブランドが
競合のブランドとは違うということをわかってもらう必要があります。
その違いを考える上で重要なのは、自分たちのブランドの立ち位置を
見きわめることです。
自分たちは競合と比較したとき、「どの位置にいるのか」「どれくらい
規模が違い、どのように戦うのが最適なのか」をなるべく正確に、客観的に
把握しなければなりません。
自社のブランドをどこに位置づけ、どのように戦えばよいのかについて、
「コトラーの競争地位戦略」をもとに説明します。
・コトラーの競争地位戦略
「コトラーの競争地位戦略」とは、マーケティングの父と呼ばれるフィリップ・
コトラー教授が、マーケットシェアの大小に着目して、企業の競争上の地位を
「リーダー」「チャレンジャー」「ニッチャー」「フォロワー」の4つに分類し、
それぞれの地位に応じた戦略を選ぶことが重要だと説いたのです。
1. リーダーブランド
リーダーブランドとは、カテゴリーにおける市場シェアがトップのブランドの
こと。また、そのカテゴリーの絶対的王者であり、競合を寄せ付けないトップ
ブランドです。業界を索引する主導的立場にあります。
リーダーブランドの基本戦略は、「自社ブランドのシェアの維持や増大」、
そして「市場全体の拡大」です。
● 代表的にブランド
・喫茶店—スターバックス
・自動車メーカー—トヨタ
・コンビニエンスストア—セブン・イレブン
2. チャレンジャーブランド
チャレンジャーブランドとは、市場リーダーに戦いを挑む、カテゴリー
2、3番手のブランドのこと。
トップ集団ではあるものの、1位ではありません。リーダーブランドを
追い抜こうと、シェア拡大を目指すブランドです。
リーダーブランドとの差別化を図り、リーダーブランドが強化できない
ような分野で競争力を高めてリーダーのポジションを狙うというのが、
チャレンジャーを狙うというのが、チャレンジャーブランドの基本戦略と
なります。
● 代表的なブランド
・喫茶店—-ドトール、タリーズ
・自動車メーカー—日産、ホンダ
・コンビニエンスストア—ファミリーマート、ローソン
3. ニッチャーブランド
ニッチャーブランドとは、同じ業界の中で一線を画し、市場は小さい
ながらも特定の領域に絞り込み、特定の顧客を相手に成功している
ブランドのこと。
リーダーやチャレンジャーにとっては市場が小さく、手間がかかるため、
関心の領域外です。
特定の分野で専門性を強化し、フォロワーブランドの追随を許さないと
いうのが基本戦略になります。
独自の立ち位置を構築することにより、参入障壁を築きます。
● 代表的にブランド
・喫茶店—椿珈琲
・自動車メーカー—スズキ、スバル
・コンビニエンスストア—ミニストップ、セイコーマート
4. フォロワーブランド
フォロワーブランドとは、リーダーブランドが行っていることを真似して
いるブランドを指します。
基本的に、競争手段は価格競争で、マーケティングの資源を持たず、
競争優位性が発揮しづらいです。
市場シェアが低く、同じような商品やサービスを展開している競合他社が
多数います。
ひたすら効率化を求め、低コスト低価格を目指すというのがフォロワー
ブランドの基本戦略となっています。
上位ブランドをすばやく模倣し、低価格で販売します。
競争を避けるためにはニッチャーブランドへの転身が必要です。
そんな風にブランドとしての「らしさ」にこだわった点も見逃すことが
できません。
老舗チェーン喫茶店でも、フォロワーブランドから差別化の要因を探し
出して尖りを加えることで、ニッチャーブランドとして成功できるのです。
この続きは、次回に。