ブランディングが9割 ㉒
✔ ブランドの「目指す姿」はどのようにつくるか
ブランドの「目指す姿」をつくるには、現状の課題に対して、ブランドで
どう解決したいか戦略を考え、ブランドの提供価値を明確にしておく必要が
あります。
手順としては、第2章〜第4章で説明したとおり、まず3C分析を行い、
客観的な事実を洗い出します。その事実をもとに、ワークショップや
会議で「自社の強み」「顧客のインサイト」「競合との差別化」を議論し、
「目指す姿」を導き出します。
・「目指す姿」の導き出し方
では具体的にどのようにして「目指す姿」を導き出すのか、私が実際に
リブランディングを行った「RefLite(レフライト)」を事例に解説したいと
思います。
RefLiteは人気のスニーカーに採用されて最盛期を迎えたものの、度重なる
不況や輸入品による価格破壊により、次第に収益が悪化しました。
同社は厳しい状況から抜け出せず、リブランディングして立て直すという
ことを考えるようになったのです。
いかにして価値をつくり、高く売るかという戦略を立てるために、
3Cについて関係者にヒヤリングを行ったところ、次のようなことが見えて
きました。
● 自社分析
※ 省略致します。
● 顧客分析
仲介業者からは「そこそこの品質でより安く」と、常に価格が重視されている。
※ 省略致します。
● 競合分析
※ 省略致します。
3C分析を行い、客観的な事実が揃ったところで、社内の関係者を集めて
ワークショップを実施すると、次のような意見がまとまりました。
● 自社の強み
・「国産」「技術力が高い」「他社にはない、豊かな色彩を持つ」
「大手企業や官公庁などへの納入実績による信頼性の高さ」などの
強みを持つ。
・その良さが顧客に伝わっていないことが課題。
● 顧客インサイト
・中間業者ももちろん重要な主要取引先だが、価格交渉力で優位性を
出すためにも、最終製品をつくるメーカーから指名されることが
重要ではないか。
・開発担当者やデザイナーのファッションに対する琴線に触れることが
重要。
RefLiteの関係者と私はこのように考え、工業材料の一ブランドとして
ではなく、ほかにはない高機能+ファッション性のあるブランドという
イメージを強化することにしました。
それにあたり、ブランドを表現する際、色彩の豊かさを重要視しました。
また、開発担当者やデザイナーがRefLite製品を扱う場合、「どんな顧客に
どんな価値を提供するか」を熟考しました。
昨今、スニーカーでは、ナイキが「Nike By You」というカスタマイズ
スニーカーをつくるなど、一般消費者向け商品は大量消費から個性を大事に
する時代に変わり、「自分だけのもの」といったオリジナリティのある
商品が注目を浴びています。
そこで、「RefLifeは本当は目立ちたいと思っている〝個〟を輝かせられる
ような存在になりたい」と考えました。
● 競合との差別化
・リーダーブランドが3Mなら、RefLiteはニッチャーブランドと位置づけし、
ハイスペック品、色彩の豊かな表現力に注力する。
・競合はファッション性の訴求を行っていないため、「高機能だがファッション性の
あるブランド」というところにポジショニングし、その分野で1位を目指す。
狙う市場を工業製品からファッション市場に変えるということではなく、
「ハイスペックでファッショナブルなリフレクター」という位置づけに
したのです。
この続きは、次回に。