ブランディングが9割 ㉑
第5章 価値あるブランドはこうつくる
<「ブランドらしさ」の確立>
✔ 価値あるブランドは、ブランドの「目指す姿」を明確にしている
ブランドづくりを実際に進めるにあたって重要なのが、ブランドの中心と
なる考え方(中核概念)=「目指す姿」を明確にすることです。
この「目指す姿」は、言い換えれば「私たちのブランドは将来(ある時点
までに)こうなっていたいという理想像」あるいは「ターゲットのお客さんに
こう思われたいという姿」です。
したがって、ブランドの「目指す姿」を示すことは、こうありたいという
自社の宣言であると同時に、お客さんや従業員への約束事とも言えるでしょう。
もう一つ、「目指す姿」の重要な役割は、「ブランドとしての判断基準となる
こと」です。
ブランドを担当するものであれば常に、「ブランドとしてのやるべきこと
なのか、そうでないのか」「ブランドとして『らしい』か、らしくないか」を
考えなければなりません。
その際の指針となるのが、「目指す姿」なのです。
第2章の最初にお伝えしたとおり、ブランディングは、自社ブランドの
現状を「目指す姿」にしていく活動そのものです。
ブランドは、この「目指す姿」を軸として、ブランドとお客さんとの
全ての接点(タッチポイント)を通じ、体験することで、お客さんの頭の
中に価値として蓄積されていきます。
ですので、各タッチポイントで統一感のある訴求(コミュニケーション)を
しないと、「らしさ」が生まれないのです。
したがって、このブランドの中心となる「目指す姿」がしっかりして
いないと、各タッチポイントで訴求がばらつき、お客さんや従業員の
頭の中で別々のイメージがつくられてしまいました。
受け手に見え方や考え方の「ズレ」が生じないようにするためにも、
この中心となる「目指す姿」がとても重要なのです。
ちなみに、「目指す姿」は、専門用語で「ブランドプロミス」または
「ブランドプロポジション」と言ったり、書籍によっては「ブランド
アイデンティティ」「コアバリュー」「ブランドエッセンス」などと
表現する場合もあります。
言い方は違いますが、基本的にはすべてブランドの中核概念を意味します。
いずれにしても、ブランドの「目指す姿」は、どんなブランディング活動を
する上でも中心となる基準でなくてはなりません。
そうでないとブランドの「らしさ」を築くことができないからです。
例えば、「パッケージデザインがルール通りなんだけど何か変」とか、
「商品のコンセプトがブランドの世界観と合致していないのでは」など、
「何かが違うな」と思ったときに、「目指す姿」をもう一度見て、「らしい」か
「らしくないか」かの判断の指標としています。
なぜなら、この「目指す姿」がブランドの原点であり、中心にある哲学の
ようなものだからです。
この続きは、次回に。