ブランディングが9割 ㉖
第6章 イメージ通りのブランドを実現させるコツ
✔ ブランドの「らしさ」は、こうつくる
イメージ通りのブランドを実現させるために、まず具現化するべきは、
ロゴやブランド名など、ブランドを構成する基本的な要素です。
それを「ブランド要素(または、ブランドエレメント)」と言います。
ブランド要素には、ロゴやデザインなど視覚的な(ビジュアル)要素と、
ブランド名やブランドステートメントなど言語的な(バーバル)要素が
あります。
音や匂い、触り心地など、五感に訴えたブランド要素もあります。
ブランドは、五感を通してブランドを体験することによってお客さんの
頭に築かれていくものなので、ブランド要素の構築は注力するべきこと
です。それぞれのブランド要素がブランドの「らしさ」を忠実に表現
することで、統一感のあるブランドが構築されていきます。
よく、ブランディングで「トンマナ(トーン&マナーの略)を合わせて」と
言うことがあるのですが、これはブランドの統一感を保つために使われる
言葉です。そもそもトーン&マナーは、ブランドを表現する際のルールを
定めたもの、統一感のあるブランド表現を行うためのものです。
広告や販促物などのデザイン表現や理由づけの根拠になり、デザイン会社や
出入り店などとの間で共通認識となるものです。
もし「シンプルさ」や「調和」を重んじる無印良品が、蛍光色など派手な
色を使った商品や広告を出したら、おそらく違和感を覚えると思います。
無印らしいシンプルなデザインや自然な色で商品や店内を表現することで
統一感が保たれ、トンマナの合った世界観がつくられるのです。
ただ、注意しなくてはならないのが、発信側の一方通行ではブランドを
つくれないということです。
受け手となる顧客が「らしさ」を感じ取って初めてブランドの「らしさ」が
つくられていくからです。
人は美しいものが大好きです。
どうせつくるなら、ぜひセンスの良い美しいものにしたいですね。
ブランド要素はとてもセンスが問われる重要な工程ですので、デザイナーと
慎重に、かつ臆することなく進めていきましょう。
✔ 「視覚的ブランド要素」のパターン・制作ノウハウ
まずは、視覚的なブランド要素であるビジュアルアイデンティティ(以下VI)に
ついて解説します。
VIとは、ブランドの統一感を保つために、目指す姿を視覚化したデザイン要素
一式のことです。
具体的には、ブランドのロゴマークやカラー、店舗や商品パッケージ、
WEBサイトなどのデザインシステムのことを言います。
・ブランドロゴ(ブランドシンボル)のパターン
ブランドシンボルとなるロゴは、ブランドの顔とも言えるものです。
ロゴの構造や特徴を理解し、ブランドの戦略と照らし合わせて、具体的に
表現していきます。
一般的に、ロゴは大きく3つのパターンに分けられます。
1. アイコンのみ
アイコンだけでブランドを表現しているパターンのロゴ。
アップルやナイキのようにイラストだけで表現する場合と、マクドナルドの
「M」やブリジストンの「B」のようにアルファベット1文字をアイコンで
表したものがあります。
2. アイコン+文字
アイコンに文字をプラスしてブランドを表現しているパターンのロゴ。
JALの「鶴」やクロックスの「ワニ」などは、象徴となるアイコンと
文字がセットで表記されています。
3. 文字のみ
文字を基本としつつ一部をアイコン化などしたデザインでブランドを
表現しているパターンのロゴ。
IBMやSONY、CANONなどが挙げられます。
この続きは、次回。