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✔ 「言語的ブランド要素」のパターン・制作ノウハウ
次に、「言語的なブランド要素」であるバーバルアイデンティティ(ブランドを
表現する言葉)について説明します。
バーバルアイデンティティは言葉による表現であるため、我々一般の人でも
つくることができると思われがちですが、ビジュアルデザインをグラフィック
デザイナーが行うように、バーバルアイデンティティはコピーライターに
任せるのがよいでしょう。コピーライターは言葉のデザイナー、つまり言葉を
デザインするプロだからです。また、ビジュアルに統一感が重要であるのと
同様に、言葉にも統一感が求められます。
すべての言葉から「らしさ」が伝わるようにしたいものです。
・ブランド名のパターン
ブランド名は、人間で言えば氏名に当たるものです。
ブランドイメージに与える影響はとても大きいので、ブランド名の構築は
とても重要です。
ビジネスシーンで、いかに早くあなたの名前と特徴を覚えてもらうかが
重要であるのと同じです。まずはブランド名の構造を理解しましょう。
ブランド名考案の上で参考になる4つのパターンを紹介します。
1. 固有名詞や造語(一語で表現したもの)
1つの意味をなすワードや固有名詞、造語など一語で表現している
ブランド名。
「Apple」「Tesla」など、意味をなす言葉一つで表現したものや、
「Pocky」(細い棒を折る擬音〝ポキッ〟をもじった言葉)のように
何らかの意味を含む造語。
あるいは、「SAPPORO」「Dior」「TOYOTA」「マツモトキヨシ」と
いった、地名や氏名などの固有名詞由来のブランド名。
2. 「言葉」と「言葉」の掛け合わせ
何らかの意味を持つ単語の組み合わせや、固有名詞、造語などの言葉の
組み合わせによって表現しているブランド名。
「ユニクロ」(ユニークの「ユニ」+クロージングの「クロ」) 、
「カラームーチョ」(辛いの「カラ」+スペイン語のMUCHO
[もっとの意]の「ムーチョ」)など。
3. 頭文字を取ったもの(アクロニム造語)
いくつかの単語の頭文字を取り、組み合わせて表現しているブランド名。
スポーツシューズで有名な「ASICS(アシックス)」は、ラテン語の
「Anima Sana In Corpore Sano(もし神に祈るならば、健全な身体に
健全な精神があれかし、と祈るべきだ)」の頭文字を取ったもの。
サプリメントや化粧品で有名な「DHC」は、大学翻訳センター
「Daigaku Honyaku Center」の頭文字を取ってDHCとしたもの。
4. 順番を変えたもの、逆さから読んだもの(アナグラム造語)
意味のある単語の順番を変えたり、逆さから読むことで表現している
ブランド名。
Lリーグの「コンサドーレ札幌」は、「道産子(どさんこ)」を逆さに
読み、ラテン語の「-ole(オーレ)」の響きを組み合わせたもの。
また、佐藤製薬の「ハクビホワイトC」のハクビは「美白(びはく)」を
逆さに読んだもの。
その他にも、会話パターンの「お〜いお茶」、説明パターンの「じっくり
コトコト煮込んだスープ」、オノマトペや擬音を使った「ガリガリ君」
などの手法があります。
この続きは、次回に。