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✔︎ その他のブランド要素
次に、視覚的、言語的以外のブランド要素を簡単にご紹介します。
ブランドは五感を通じ、タッチポイントの体験を通してお客さんの頭の中に
構築されていくため、視覚のほか音(聴覚)や匂い(嗅覚)、味(味覚)、触り心地
(触覚)など、五感をフルに活用した訴求によって、強いブランドが築かれて
いきます。
ここでも忘れてはいけないのは、「そのブランドらしいかどうか」です。
どんな訴求も、ブランドのコンセプトとマッチしているかを確認しながら
行います。また、一度決めたならば、その訴求をし続けることも重要です。
長年にわたって実施し続けることで、お客さんに価値として認められていく
ブランドも少なくありません。
● 音・音楽
誰しも、サウンドを聞いた瞬間にブランドを連想したり、そのブランドの
商品やサービスそのものを連想したりすることがあると思います。
● 香り・匂い
嗅覚に訴えるブランディングもあります。
● 味
食品であれば味覚もブランドを構成する要素の一つです。
● 形状
容器などの形状も、ブランドが持つ価値の一つと考えることができるで
しょう。
● 触り心地
商品の触り心地も、ブランドの価値を連想させるエレメントの一つです。
✔ デザイナーといかに協業するか
ブランドづくりにおいて、何にもまして重要なのは、ブランドを表現する
クリエイティブ(ブランドにおける具体的な製作物全般)のデザインです。
「良いデザインが出ない限りブランドにおける成功はない」と言っていい
くらい重要です。
ブランドの担当者は、ほとんどの場合、デザイナーでもデザインの専門家でも
ないため、イメージ通りのブランドを実現させるには、デザイナーとの協業が
欠かせません。デザイナーが知りたいことは何かを把握し、より正確に、
わかりやすく、ブランドの戦略や想いを伝えていきましょう。
・デザイナーとやりとりする上でのポイント
1. デザイナーに戦略をしっかり伝える。ただし、具体的に指示し過ぎない
私自身もデザインの専門家ではありませんが、長年、「ブランドをどう
デザインで表現するか」という仕事をやってきました。
成功するために大事なことは、デザイナー(または、代理店の担当者や
クリエイティブディレクターなど)に、ブランドの戦略や課題、目指す姿を
しっかり伝えることです。
・目的—目的は何か、どこを目指しているのか。
・背景—なぜこれを行うのか、課題は何で戦略的にどうしたいか。
・仕様—製作物の具体的な仕様、サイズ、どこにどのように使われるかなど。
・特徴—機能的な特徴や、優位性は何か。
・ターゲット—誰をターゲットにしているか。ターゲットのインサイトは何か。
・差別化要素—競合とどう差別化しているのか。ポジショニングマップを記載。
・ブランドコンセプト—ブランドの提供価値、お客さんにとっての価値、
機能的価値や情緒的価値が何なのかなど、ブランドに関わることを伝える。
これだけで足りない場合、デザイナーと項目を相談して用意します。
ここで注意してほしいのが、デザイナーに伝える際、「デザインに関しては、
具体的な解決策を指示しない」ということです。
なぜなら、そもそもデザインによる解決策を見いだすことがデザイナーの
仕事だからです。
これは優秀なデザイナーから教えてもらったことなのですが、「高級な
商品であるにもかかわらず、お客さんにはパッケージのデザインから
高級感が伝わっていない」という課題があった場合、担当者がデザイナーに
伝えるべきは、「高級感がお客さんに伝わっていない」までです。
間違っても、「高級さが足りないから黒と金にしてほしい」などと具体的な
指示をしてしまわないことです。
デザイナーの出す案が限定されてしまうからです。
もちろん、案の1つとして伝えるのはいいのですが、黒や金以外の色で
高級感を表現する方法もありますし、柄の変更や追加などで高級感を
出すこともできるでしょう。デザインによる手法はいろいろあるので、
詳細はプロに任せるのがいいということです。
2. 言葉で伝えられないときは、ビジュアルで伝える
思い描く姿があっても、言葉ではうまく表現できなかったり、イメージ通りに
伝わらなかったりすることがあります。
そんなときは、参考となる写真やイラストなどのビジュアルを用意し、
デザイナーに伝えましょう。相互の理解がより深まりやすくなります。
ビジュアルは、gettyimagesやamanaimagesなどの画像ストックサイトで、
比較的簡単に探すことができます。画像の利用には費用がかかりますが、
閲覧は無料です。デザイナーにURLを伝えれば、イメージを共有することが
できます。また、PinterestやInstagramなどのサイトにも、参考となるような
ビジュアルが多く掲載されています。
また、海外のブランドは素晴らしいデザインのものがあるので、ぜひ参考に
してください。Googleの画像検索で、ブランドに該当する形容詞(かわいい、
おしゃれ、高価な、など)+商品などの対象物(チョコレート、カフェ、など)
+具体的に落とし込みたいデザイン(パッケージデザイン、WEBデザイン、
店舗デザイン、など)を英語で入力すると、魅力的な画像がたくさん表示
されます。
さらに、ピンクやブルーなど特定の色を加えると、より望んでいる検索画像が
表示されるでしょう。
チョコレートのパッケージデザインを探すのであれば、「cute chocolate
package design」などと入力して検索します。
3. 思い通りのデザインが出ないときは、まず「伝え方」を振り返る
デザイナーや代理店の担当者にしっかり伝えたのに、思い通りのデザインに
仕上がらなかったという話はよくあります。
そんなときは、伝え方に問題があったと思った方がよいでしょう。
重要なことは口頭と書面の両方で伝えて、何が重要かを「これでもか」
というくらい説明するとよいでしょう。
ただし、デザインはセンスが問われます。デザイナーによって経験値や
実力差があるのは当然のことです。
ポイントをしっかり伝えてもなかなか思い通りのデザインが出ない場合は、
思い切ってデザイナーを変更するというのもひとつです。
この続きは、次回に。