「D・カーネギー 人を動かす」③
3. 人の立場に身を置く
● 人を動かす唯一の方法は、その人の好むものを問題にし、それを手に
入れる方法を教えてやることだ。
これを忘れては、人を動かすことはおぼつかない。
● 〝貧しき兄弟に尽くすは、すなわち主に尽くすことなり〟
美しい行為から生まれる喜びよりも百ドルのほうがいいと思う人は、
寄付などはしないだろう。もちろん、断るのは気がひけるとか、日頃
ひいきになっている人に頼まれたとかの理由から寄付をする場合も
あろう。しかし、寄付をした以上、何かを欲しただけは確かである。
● アメリカの心理学者オーヴァストリート教授の名著『人間の行為を
支配する力』に次のような言葉がある。
「人間の行動は、心の中の欲求から生まれる——-だから、人を動かす
最善の法は、まず、相手の心の中に強い欲求を起こさせることである。
商売においても、家庭、学校においても、あるいは政治においても、
人を動かそうとする者は、このことをよく覚えておく必要がある。
これをやれる人は、万人の支持を得ることに成功し、やれない人は、
万人の支持者を得ることにも失敗する」
● 「人を説得して何かをやらせようと思えば、口を開く前に、まず自分に
尋ねてみることだ—–「どうすれば、そうしたくなる気持ちを相手に
起こさせることができるか?」
これをやれば、自分勝手な無駄口を相手に聞かせずに済むはずだ。
● 自動車王ヘンリー・フォードが人間関係の機微に触れた至言を
残している—-
「成功に秘訣というものがあるとすれば、それは、他人の立場を理解し、
自分の立場と同時に、他人の立場からも物事を見ることのできる能力で
ある」
実に味わうべき言葉ではないか。
まことに簡単で、わかりやすい道理だが、それでいて、たいていの人は、
たいていの場合、見逃している。
● 「自己主張は人間の重要な欲求の一つである」
ウィリアム・ウインターの言葉であるが、我々は、この心理を、仕事に
応用することができるはずだ。
● 何か素晴らしいアイディアが浮かんだ場合、そのアイディアを相手に
思いつかせるようにしむけ、それを自由に料理させてみてはどうか。
相手はそれを自分のものと思い込み二皿分も平らげるだろう。
「まず、相手の心の中に強い欲求を起こさせること。これをやれる人は、
万人の支持を得ることに成功し、やれない人は、一人の支持者を得る
ことにも失敗する」
【人を動かす原則③】
強い欲求を起こさせる。
この続きは、次回に。