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リテールマーケティング  ⑮

第2部 売場づくりと販売促進の実践編

 

① 売場づくりの基本

 

1. レイアウトは客単価に直接影響する

 

レイアウトとは、「横たえる」という意味であるが、小売店の場合、

横たえるのは、言うまでもなく「商品」である。

顧客に商品をたくさん買ってもらうためには、多くの売場を歩いて

もらわなければならない。そして、多くの商品に注目してもらい、

多くの商品を選んでもらわなければならない。

このように、多くの売場を興味深く、しかも効率的に歩き回り、立ち

寄ってもらうことがレイアウトの基本原則である。

重要なことは、顧客に自由に売場を歩いてもらい、気に入った商品を

買ってもらい、しかも小売店側にとって売りたい商品が売れるように

することである。

「売上高=客数×客単価」という顧客視点から考えれば、レイアウトは

客単価に直接影響する要因である。

 

図1-1 入店から購入までの行動

 

入店する

 ↓

店内を歩く

 ↓

売場に立寄る

 ↓

商品を見る

 ↓

手に取る

 ↓

購入する

 

2. 顧客のスムーズな回遊と選びやすさがレイアウトの基本

 

レイアウトの設計で注意すべきことは、顧客の来店目的や動機、そして

購買心理などを十分に考慮し、買いやすい品種を組み合わせて連続的な

売場を作ることである。それにより、顧客は関連商品をまとめて買い求

めることができる。

レイアウトは、品群ごとのメイン商品(品種)を中心に、わかりやすく、

しかも副品種(サブクラス)をどのように関連づけて配置するかを基本と

する。

その効果的配置によって、顧客の店内誘導と回避性を高め、ワンストップ

ショッピングショートタイムショッピングなどを促進することができる。

つまり、一言でいえば、小売店側が期待するとおりに、顧客に売場内を

自由に歩いてもらう方法がレイアウトということになる。

望ましいレイアウトを設定するためには、ストアコンセプトにもとづき、

顧客導線、商品構成、販売方式といったいくつかの要素を最適な形に組み

合わせる必要がある。それらが顧客にとって、商品が見やすく選びやすい

売場や、スピィーディ、かつ、楽しい雰囲気で買物ができる魅力的な売場

環境を実現する。

そのため、レイアウトは、顧客導線の流れに従い、できるだけ手短に必要な

商品をまとめ買いしてもらうように、スムーズな回避と選びやすさを目的と

して設定する必要がある。

 

レイアウト設定のポイントは、次のとおりである。

 

・顧客導線に従い設定すること。

 

・関連する品種同士を近づけて配置すること。

 

・買物しやすい順序を考慮して品種を配置すること。

 

・補充作業の効率面からみて、バックヤードとの関連性を配慮すること。

 

3. ワンウェイ・コントロールを意図した顧客導線の策定

 

(1) ワンウェイ・コントロールを意図した顧客導線の策定

 

店内の隅から隅まで多くの顧客を快適に導くラインを顧客導線といい、

このラインにもとづき主通路と副通路を設定する。

特に、主通路は顧客が店舗に入りやすく、出やすいように入口から出口

まで同じ幅員で一周していることが基本である。

ワンウェイ・コントロールは、ワンストップショッピングの促進を目的

として、売場の隅々まで計画的に回避してもらうために一方通行型顧客

導線手法である。

ワンウェイ・コントロールのポイントは、次のとおりである。

 

・入口を店側の左または右側の壁面沿いに設置する。

 

・主通路を入口から直進させ、店奥の突き当たりを直角にとる。

 

・通路の両側の売場を同一または関連性の高い品種で構成する。

 

・要所にパワーカテゴリー(マグネット)を配置する。

 

・買物の順番を考慮した一方通行型主通路のレイアウトを計画する。

 

このように、ワンウェイ・コントロールは小売店側が意図したとおりに

顧客に店内を隅なく歩いてもらうよう一方的に誘導することであり、セ

ルフサービス販売方式の店舗において採用される場合が多い。

なお、顧客の店内滞留時間が長くなれば、必然的に購買機会は高まる。

つまり、できる限り多くの通路を歩いてもらい、できる限り長い距離を

歩いてもらえば、それだけ買上点数が増え、客単価の向上が期待できる。

 

(2) 通路の基本要件

 

適切な道路幅とは、顧客が自由に商品を選択でき、かつ、売場の売上が

上がるのに最適な幅のことである。

具体的には、一般的な通路幅は、顧客1人の肩幅が60cmとして、3人が

すれ違える幅180cmが必要とされている。また、通路の肩側に対面販売の

売場やレジカウンターがある場合は、4人分の240cmが必要とされている。

 

① 主通路

 

店内の顧客導線の調査実態から、主通路は来店した顧客の80%以上が必ず

歩く通路といわれている。主通路の設定はワンウェイ・コントロールの

方法のなかで、最も効果が大きいとされ、その役割は非常に大きい。

主力商品の売場前の主通路は、長めの顧客導線をとり、顧客が店内を短時間で

スムーズに回遊できるように配置する。主通路は、基本的には次のような

要素を満たしていることが望ましい。

 

・入口から始まり、レジや出口まで一周(コの字型または逆L字型)して

 いること。

 

・店舗のなかで一番広いこと。

 

・直線で、最も明るく、見通しがよいこと。

 

・両側は、異なる部門や品群などが明確に区分され、それぞれに主力商品や

 季節商品の売場を設置していること。

 

・突き当たりなどにパワーカテゴリー(マグネット)が設置されていること。

 

・目的を持って来店する顧客のために、誘導距離を短くしたコンビニエンス

 ゾーンが設置されていること。

 

② 副通路

 

副通路とは、主通路以外の通路で、顧客の流れが主通路よりも少ないこと

から、その幅は主通路よりも狭くなる。

最近、スーパーマーケットなどでは買物にショッピングカートを利用する

顧客が増えており、店内で顧客同士がすれ違う幅、ショッピングカートを

押しやすい幅の通路を確保することは、顧客のスムーズな買物はもちろん、

客単価の向上のためにも重要である。

 

 

 

この続きは、次回に。

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