リテールマーケティング ⑯
(3) グルーピングされた商品の配置
通路を挟んだ左右のゴンドラに商品を配置する場合、配列線の相互関係が
重要となる。つまり、通路を挟んだ左右のゴンドラ(陳列棚)には関連性の
ある品種を配置し、顧客が通路を歩くだけで関連する商品をひと目で選べる
ようにする。これは、セルフサービス販売方式主体の小売店、または対面
販売方式主体の小売店のどちらにも共通することである。
また、売場の曲がり角の商品配置は、顧客の誘導面からも重要である。
曲がり角で商品の関連性が途切れてしまうと、顧客の導線も切れてしまう。
したがって、品種構成の連続性を遮断しないように関連性を維持し、顧客が
知らず知らずのうちに次の売場へ進んでいけるようにすることが必要である。
図1-2 グルービングされた商品(品種レベル)の配置
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④ パワーカテゴリー(マグネット)の配置で立寄率を高める
パワーカテゴリーとは、顧客を店内の隅々まで回避させるための仕掛けの
ことであり、顧客の目を引きつけ、購買意識を高めるための商品群を店内の
主要な売場に意図的に配置する。
それぞれの売場に立ち寄る確率を高める商品配置であり、「マグネット
(磁石)」と呼ぶ小売業もある。
パワーカテゴリーは、ワンウェイ・コントロールの導線を設計するうえで
不可欠な要素である。
(1) パワーカテゴリーは4つある
パワーカテゴリー(マグネット)の配置は、その目的や方法により大きく
4つに分けられる。
1. 第1マグネット
主通路の両側に配置され、顧客を店内の奥へ奥へと誘導する商品群である。
消費頻度が高く、購買頻度の高い商品や主力商品が該当する。
2. 第2マグネット
主通路・副通路の突き当たりに配置され、第1マグネットと連動とし、
補助しながら顧客を店奥へ誘導する商品群である。
主力商品のなかで特に消費頻度の高い商品や流行商品、提案・演出を重視
する商品、また新商品などが該当する。
3. 第3マグネット
主に、ゴンドラエンドの商品群を指す。
主通路を歩いている顧客やレジに向かおうとする顧客をゴンドラ内の通路に
誘導する役割を持っており、顧客導線の長さ、店内滞留時間の長さにも
影響する。PB商品や特売商品、また季節商品や行事性の高い商品などが
該当し、定期的な棚を変化させて顧客に訴求する。
4. 第4マグネット
主に、定番ゴンドラ内に陳列された商品群である。
食品など、陳列ラインが長い売場において必要であり、期間を通して販売
したい商品や見せたい商品、EDLP展開する商品などを配置する。
主通路からも目立つように、POPやスポッターなどを取り付けることも
大切である。
図1-3 セルフサービス販売方式の店舗における顧客導線の例
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(2) パワーカテゴリーの配置における留意点
パワーカテゴリーを効果的に配置すれば、周囲に比べて目立つ魅力的な
売場となるが、次の視点に留意して行う必要がある。
1つは、顧客導線への配慮である。
顧客がその売場や商品に集中して他の顧客の買物を防げたり、突き出し
陳列や島陳列などによって顧客の回遊を邪魔したりすることのないように
注意しなければならない。さらに、パワーカテゴリーが主通路沿いの片側の
売場に集中した場合、顧客の立ち寄りがその売場に偏り、反対側の売場が
デットスペースになりやすい点にも留意しなければならない。
もう1つは、売場づくりに必要以上の人時がかかり非効率なオペーレー
ションとなったり、特売商品などが欠品し商品補充にオペレーションが
追い付かず、販売機会ロスが生じるといったことのないよう注意が必要で
ある。
この続きは、次回に。