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リテールマーケティング  ⑰

② ディスプレイの3大原則

 

ディスプレイは、比較的コストをかけずに店舗の魅力を向上させる方法の

1つといえる。実践と検証が手軽にでき、結果がすぐにわかるので、次への

アクションにつなげやすい。しかし、ディスプレイには原理原則があり、

それを無視すると効果はあまり期待できない。

ディスプレイの3大原則とは、「見やすいこと」「手に取りやすい、戻し

やすいこと」「選びやすいこと」である。

 

1.「原則1:見やすいディスプレイ」

 

売場づくりにおけるディスプレイ技術の基本は、「商品を目にする機会が

多ければ多いほど、その商品の販売数量が増える」ということである。

すなわち、売場の随所で顧客にとって見やすいディスプレイを展開すれば、

それだけ販売機会を増やすことができる。

顧客にとって見やすい位置(自然に目線を移す範囲)を意識してディスプレイ

すれば、商品の視認率が高まる。

たとえば、駅のホームの売店は、商品の購入や選択の時間が限られる場所で

ある。時間がない顧客は、パッと目についた商品を選び、手早く精算を

済ませて電車に乗り込む。そこで、ゴールデンラインに売り込みたい商品や

高単価商品を意図的に、かつ、目立つようにディスプレイすることで顧客の

衝動買いを誘発させることができる。また、見やすさに着目した場合、

単品量販型の量感陳列を行うと、その商品の存在感をアピールでき、自然に

顧客の視線を集めることができる。つまり、同じ陳列スペースを使うので

あれば、多くの品目(アイテム)を少しずつ陳列するよりも、1つの品目に

絞り込んで大量陳列を実施するほうがボリユーム感が出て、より大きな

効果が得られる。また、陳列棚の横一線を使用して、同一品目の多フェイス

陳列を行っても、顧客の目に留まりやすい。

 

□ 入店率・視認率・買上率

 

今日は売上を伸ばすために、必要な数値について解説します。


以下の3つの数値を伸ばすことで、売上が上がります。

 


 ○ 入店率・・・お店の前を通る人のうち、何%のお客様が入店したか


 ○ 視認率・・・展開している商品数のうち、何%の商品を実際に目にしたか


 ○ 買上率・・・入店したお客様のうち、何%のお客様が購入してくれたか

 


・入店率


お店の前を通る人100人中立ち寄ってくれる人は10人です。

これを11人に増やすことができれば、売上は10%増えます。

路面店の入店率は低いと思います。

仮に100人中1人が立ち寄るとすると、入店率は1%です。

これを2%に上げることができれば売上は2倍になります。

 


・視認率


実際に計測することは難しいと思いますが、

これも単純に売上に比例するとします。

視認率20%を30%に上げたとすると、

売上は50%の増加になります。

目に入る商品を増やす、こういう発想で売り場をつくりましょう。

 


・買上率


買上率が現在30%だとします。

これを33%に上げることができれば、

売上は10%増えます。

また、ターゲットの入店率が増えると更に買上率はアップします。


入店率も視認率も買上率も低ければ低いほど売上を伸ばすことは容易です。

買上率80%を82%に伸ばしても売上は102.5%ですが、20%を

22%にすると売上は110%になります。

同じ2%の増加でも伸び率は大きく異なります。

 

2.「原則2:手に取りやすい、戻しやすいデイスプレイ」

 

仮に、売場の担当者によって商品が見やすくディスプレイできたとしても、

顧客がその商品を手に取ることができなければ購入にはつながらない。

たとえば、ある書店の書棚は、たくさんの本でギュウギュウ詰めになって

いた。顧客は、その本を見たくても「元に戻すのが困難だから」という

心理が働き、その本を手に取ることをあきらめてしまうだろう。

これは、「手に取りにくい(棚から目的の本を取り出せない)」という要因の

「販売機会の損失」例である。

また、ディスプレイする場所や高さ、商品の並べ方などにも留意しなければ

「手に取りにくい」陳列となる。たとえば、高齢者は前かがみになることが

多いことから、陳列棚を低く設置して、取りやすさと戻しやすさに配慮する

必要がある。商品が手の届かない場所になれば、高齢者でなくても顧客は

購入をためらうだろう。商品を1つ取ると崩れてしまいそうな陳列におい

ても、顧客は怖くて手を伸ばすことはなくなる。

 

3.「原則3:選びやすいディスプレイ」

 

選びやすいディスプレイとは、販売員に説明を聞かなくても、顧客が自ら

手軽に商品の比較・選択ができるということである。

選びやすさを表現するには、何らかの基準で商品をグルーピングすることが

必要である。

グルーピングの基準は、店舗の規模・形態・取扱商品などによってさまざまで

あるが、一般的には次のようになる。

 

一、性別、年代、素材、ライフスタイルで大分類する。

 

二、用途、機能、ブランドで中分類する。

 

三、価格帯、デザイン、色で小分類する。

 

グルーピングを行ううえでの留意点は、顧客の商品選択基準と一致させる

ことである。今日では、顧客の商品選択基準が多様化しており、顧客の

要望に最もかなったグルーピングにすることが大切である。

また、適切な情報発信も商品の選びやすさを補完する。たとえば、食料品の

分野であればテイスティングマップや分類表で商品の味の違いを視覚的に

表現したり、ショーカードで商品の特徴やレシピを端的に示したりする

ことである。選びやすさを主張するには、こうした情報発信ツールの活用が

欠かせない。

 

□ グルーピング(grouping)とは

 

グルーピングとは、『グループにする』『組み分けする』という意味。

 

 

 

この続きは、次回に。

 

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