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リテールマーケティング  ㊿-8

④ マーチャンダイジングの基本用語

 

・マスマーチャンダイジング

 

小売業が、標準化した多数の店舗を持つことによって、大量の商品を

販売する方法で大衆消費社会としての経済効果を生み出すことを意味

する。その特徴は、次のとおりである。

 

① チェーンストアは、消費者の大部分である大衆を対象に、

② 日常に使用する商品を、生産段階から規格をつくり、メーカーに

  仕様書で発注し、

③ 最も合理的なコストになるようにし、

④ 品目ごとに膨大な扱い数量を計画し、

⑤ 新しい値ごろ価格をつくって、

⑥ 顧客には最も便利で楽しい手段で、

⑦ たくさんの店舗で売りさばきながら、

⑧ 顧客の暮らしを豊かに変革する。

 

・アソートメント(assortment)

 

当該小売店における商品のバランスが取れるように最適に組み合わせて、

取りそろえる方法を意味する。

具体的には、用途、機能、色、サイズ、デザイン、素材といった商品の

特性に関して、販売比率や見た目(フェイス数や商品が占める面積)の比率

などによって、バランスが取れるよう組み合わせる。

ただ単に、商品を仕入れることではない。

 

・プロパー商品

 

プロパー商品は、プロパーという言葉から派生して、「正規の価格で販売

している商品」、特売商品に対して価格を下げていない「通常価格の商品

(普通品などともいう)という意味で使われる。

いわゆる定番商品が含まれる場合もあるが、定番商品そのものではない。

 

・定番商品

 

一定の期間、同じ場所で、同じ価格で、同じ方法で販売すべき商品を

意味する。売場づくり、商品構成、売上、粗利益などの中心的な商品

ともいえる。

フェイス管理し、SKU単位で補充発注することで、一定期間、継続的に

取り扱う。定番管理がしっかりしているほど売場の値下げ、欠品(販売

機会ロス)、過剰在庫が少なく、販売効率は高くなる。また、発注、補充

など商品管理や売場管理が安定するため、作業効率も高まる。

定番商品の設定の仕方によって、売上金額、在庫金額、粗利益率、商品

回転率など販売数値、販売効率の大枠が決まる。

 

・特売商品

 

価格を訴求することで売場のアクセントとして定番商品を補完し、消費者の

購買意欲を刺激する商品を意味する。スポット商品と同様に、定番商品と

競合する商品は特売商品の対象外とされる。主な役割は、集客アップ、

衝動買いにより買上点数のアップ、買物の満足感により再来店の促進などで

ある。あくまでも売場や売上の中心は定番商品であり、特売商品が中心に

なることはない。

特売商品には、チラシ広告の掲載商品のほか、チラシ広告に載せるほど

ではない常備特価商品や、チラシ広告に載せるだけの量がまとまらない

スポット特売商品などがある。

 

・スポット商品

 

原則として、補充発注をしない商品を意味する。プロパー商品と特売商品の

どちらにも当てはまる。売場のアクセントとして投入し、短期で売り切る

(値下リスクを回避する)場合と、1回の投入分しか手配できない場合がある。

定番商品を補完することがスポット商品のねらいであり、定番商品と競合

する商品はスポット商品には向かない。ただし、定番商品が量的に不足

する場合は、類似アイテムをスポット商品として投入することがある。

 

最寄品、買回品、専門品

 

消費者の購買動機や購買行動からみた商品の分類方法である。

3分類説ともいい、M.T.Coepland(コープランド)が体系化した。

 

最寄品—一般食品、日用品などで、消耗頻度、購買頻度ともに高い、

     比較的低単価の実用的な商品を指す。

 

買回品—家具や家電製品など高額な耐久消費財、ファッション衣料品

     などがある。比較的単価が高く、購買頻度も低いため、一度買うと

     長い期間を使う。嗜好性が高いため、商品購入に際していろいろな

     こだわりがあり、多くの情報を得た後にいろいろ比較して購買する

     ような商品である。現在では、インターネット通販が買回品の流通

     チャネルになっている。

 

③ 専門品—固有の特色を持つが、ブランドで識別されるような商品を

     指す。自動車、高級なファッション関連などが代表例として挙げられる。

      特定の店舗でしか扱われず、流通経路は短く狭い。

 

・コモディティグッズ

 

消費者が品質や用途、機能などについて経験的に理解している生活必需品を

指す。使用頻度、購買頻度が高く、消費者の来店頻度と密接に関わる商品で

あるため、類似アイテムも多い。

 

・ナショナルブランド(NB)商品

 

有名メーカーが全国的に統一のブランド名で販売し、消費者にもよく認知、

かつ、信頼されている商品を指す。多くの場合、販売価格か卸売価格に

一定の枠組みがあり、小売段階で自由に販売価格を設定することがむずか

しい商品である。

NB商品をチラシ広告に多用することで、ある程度の売上が見込めるが、

発注や陳列などのコストも増加するため、結果として、売れば売るほど

粗利益率は低下する。そのため、PB商品が利益貢献度の面で見直される

一因ともなっている。

 

・プライペートブランド(PB)商品

 

小売業が独自に、あるいはメーカーとタイアップして開発し、品質保証

などの責任を担って、自社で販売する商品を指す。通常、NB商品より

低い価格帯に設定されている。

商品の製造は、多くの場合、外部の製造業に委託している。

PB商品には、次のメリットがある。

 

① 色、デザイン、構造、機能、製造方法など独自の商品企画ができ、

      競合他社よりも優れた商品やコストが安い商品をつくれる。

 

② 独自の商品のため価格を比較されることもなく、原価も競合他社からは

     わかりにくい。

 

③ 仕入商品と違って価格設定(=値入の設定)が比較的自由になる。

 

ただし、自社企画であるため、商品が売れ残った場合のリスクを負う。

製造ロットのすべてを自社で売り切る販売力が必要になる。

今日では、大手小売業各社が競合他社にない高品質のPB商品を開発して

おり、集客の目玉商品として位置付け、利益率の改善をねらう動きを

活発化させている。

 

 

 

この続きは、次回に。

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