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書籍「すごい物流戦略」③ ニトリ

・「在庫回転数」の高さは驚異的

 

ニトリは、家具・ホームファニシングという分野で製造物流小売業という、

オンリーワンのビジネスモデルを確率しています。

同社のビジネスモデルは製造小売(SPA)の一形態ですが、物流機能も自前で

行なっている点で、より進化したモデルと考えることができます。

SAPモデル(あるいは同様のモデル)を展開する類似業種・業態の企業5社

との経営数値の比較をしながら、ニトリモデルの特徴を考えてみます。

 

まず荒利率(=粗利率)から見てみましょう。

 

ニトリの場合、類似業種と比較しても、「荒利率」は高くなっています。

次に「販管費率」に目を向けると、ニトリは、ユニクロ(ファーストリ

ティリング)、MUGIブランドを展開する良品計画とほぼ似た数値になって

います。

そして「在庫回転数」ですが、ここではニトリが圧倒的です。

ニトリの場合は家具・ホームファッションという購買頻度の低いカテゴ

リーを扱っているわけですから、この在庫回転数の高さは驚くばかりです。

一貫物流による在庫管理を可能にしている独自の物流システム、自前の

物流体制により、商品在庫の効率的な活用を進めているニトリの強さの

一端が、在庫回転数の高さに表れていると思います。

 

・ニトリグループ成長の奇跡

 

製造物流小売業という独自のビジネスモデルを確立し、上場来、31期連続

増収増益を更新し続けるニトリ。

そのユニークさと強さはどこから生まれてきたのでしょう。

ニトリの歴史を簡単に振り返りながら、その背景、理由を考えていきます。

 

—省略致します—-

 

・「売っておしまい」ではなく、「売って、届けて、設置して」までやる

 

ニトリグループは「住まいの豊さを世界の人々に提供する。」という

ロマン(大志)のもと、世界を視野に入れた長期ビジョンを描いています。

2010年、製造物流小売業を構成する主要機能ごとに分社化され、ニトリ

ホールディングスによる持株会社体制になりました。

現在、家具・インテリア用品の企画・販売をするニトリ、インドネシアと

ベトナムで家具を製造するニトリファニチャー、事前の物流網を確立する

ホームロジスティックス、広告・宣伝のニトリパブリック、保険代理事業の

ニトリファシリティ等によって構成されています。

ニトリファニチャーは、ヨーロッパ、ニュージーランド、チリ、ASEAN

諸国などから原材料を調達し、インドネシアとベトナムにある自社工場で

家具を製造しています。

ホームロジスティックス、全国に広がる店舗網への迅速な商品配送や配送

コストの削減、海外開発商品の保管などを目的に効率的な物流拠点網を

構築するなど、中間コストの削減、物流品質の向上を図り、ニトリ製品の

「お、ねだん以上。」の実現には欠かせない存在です。

 

ニトリには、ニトリ、デコホーム、ニトリEXPRESSに、ネットショップ

「ニトリネット」を加えた4種類の店舗があることになります。

しかしこれらを、スーパーやドラッグストア等が展開する、都市型店舗、

郊外型店舗、商店街型店舗、ショッピングセンター内店舗、ネット

ショップの違いのように、商品の売場が違うだけと考えてしまっては

いけないと思います。

というのは、先述しているように、ニトリの扱う商品には大型家具や

インテリアなど「売っておしまい」ではなく、「売って、届けて、設置

して」というものが多く含まれています。

ある意味、商品を店頭に並べれば成立するというビジネスではなく、商品を

店頭(あるいは物流倉庫)からお客様の希望する場所まで運び、利用できる

状態に整えてお客様に渡すところまで無事完了できてようやく終了という

モデルです。

4つのタイプのどこからも、同じ品質(スピードやていねいさなど)で提供

できなければ、「お、ねだん以上。」でなくなってしまいます。

製造物流小売業として、開発、製造、物流、小売、アフターサービスの

5つのステップを横断的に進めている同社だからこそ実現できる業態展開

だと言えます。

 

 

 

この続きは、次回に。

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