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書籍「すごい物流戦略」ZARA⑤

● RFIDタグの装着で、棚卸しにかかる時間が2日から1時間に短縮

 

インディテックスの研究開発費はというと、約10億ユーロ。

1ユーロ=1.2ドルですから、ドル換算で約12億ドル(約1300億円)になります。

現在同社が研究開発投資を進めている分野の1つにRFIDがあります。

このRFIDというのは、無線通信によってタグに埋め込まれた情報(商品名、

型番、価格など)をやり取りできる技術のことで、RFIDタグを取り付ける

ことによって、現在のバーコードによる商品管理に比べ、格段に効率化

できると言われています。

日本では、ユニクロのファーストリテリングが展開するGUや、一部コン

ビニでの試験導入が始まったところです。ZARAについては、自社工場内で

装着済みですが、他のブランドについても2020年までに全商品に装着に

よって、棚卸しに2日間を要していたものが1時間で完了するなど、店内

作業の効率化を図っています。

IoT(モノのインターネット)機能を持つ鏡を活用したインタラクティブ

フィッティングルームの開発も進めていますが、試着室の中で、何を着て、

何を買い、どれを購入しなかったのかのログを取り、商品開発につなげて

いくねらいがあります。また、インディテックスでは、先端技術を使って

取得したデータだけでなく、SNS上の発言や接客時に耳にしたお客様の

発言なども共有しており、あらゆるデータに対して感度の高いアンテナを

張り巡らせていることがわかります。

このほかモバイル決済(現在27市場で展開中)、オンライン通販時の明細書の

ペーパーレス化、セルフレジ、AR(拡張現実)アプリの活用なども積極的に

進めています。

2018年4月から世界各地の旗艦店120店舗で導入したARアプリは、専用の

ARアプリをダウンロードし、所定のショーウィンドウや店内のセンサーに

かざすと、スマホ画面上に商品を着たファッションモデルが現れて動き

回る仕組みになっています。もちろんこのアプリはオムニチャネルに対応

する前提で考えられており、商品が気に入れば、そのままアプリ上から

購入することもできます。

 

最後に、インディテックスの本社内を歩いていて感じたことですが、私が

「Logistics」という言葉を口にすると、案内してくれている担当者がとても

反応していました。

“Speed Logistics”製造小売業のインディテックスに勤める社員は、ふだん

から「Logistics」を意識し、アンテナを広げて働いているのだと強く感じ

ました。それだけ同社にとってロジスティクスは重要なものであり、まさに

ビジネスモデルそのものなのです。

 

 

 

この続きは、次回に。

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