書籍「すごい物流戦略」【物流戦略の4C】
終章 物流戦略の4C
● 商品⧣製品
「商品と製品は違います!」
そう話すと、ほとんどの人は、ポカンとします。
そういった考えを持った人がいなかったからです。しかし、その意味を
説明すると、多くの人が「なるほど!」と理解します。
同じ赤いマグカップなのに、なぜ、100円ショップと無印良品だと、値段が
違うのでしょうか? 両方、お茶やコーヒーを入れることができます。
もちろん、漏れることはありません。商品の機能は変わりません。
でも、なぜ価格が違うのか?
みなさんに聞くと、まず出てくるのが「ブランド」です。
確かにブランド力は圧倒的に違います。
次に、デザインも当然違います。
表面コーティングの素材なども違うでしょう。
また、品質も違うでしょう。おそらく、品質検査も、米国やヨーロッパの
市場での規制や消費者運動(意識)なども考慮して、無印良品の方が入念に
行っているはずです。
包装も違います。
私自身、無印良品でちょっとしたプレゼントを買うときがあります。
なぜなら、無料でプレゼント包装をしてくれるからです。
100円ショップなら、プレゼント包装の包装紙も買わないといけませんし、
それを包むのは素人の私です。それに、100円ショップで買ったものを
喜んでくれる日本の友達はまずいません。
こう考えると、無印良品の赤いマグカップと、100円ショップの赤いマグ
カップでは、違う商品なので、値段が違って当たり前なのです。
□ 製品+ブランド +包装+賞味期限、デザイン、品質、アフターサービス
—–以上が「商品」
● マーケティングの4Pと4C
ロジスティックスは、マーケティングに大きな影響を与えています。
さらに、その影響度は、ネット通販やモバイル通販、オムニチャネルの
存在感が増すごとに、日増しに高くなっています。
昔、リーバ(ユニリーバ)のシンガポールチームと、友人の結婚式で同じ
テーブルになったことがあります。そのとき、自分は「ロジスティックス
(Logistics)をやっている」と言うと、「ディストリビューション
(Distribution)のことだな」と言われました。デイストリビューションは、
いわゆる流通のことです。ちなみに、フィジカルディストリビューション
(Physical Distribution)と言う言葉は、昭和30年代に、「物的流通」と
日本語訳され、さらに「物流」と略されました。
みなさん、よくご存知のマーケティングの4Pというフレームワークには、
Product(製品)、Price(価格)、Promotion(広告)、Place(流通)があります。
このPlaceがまさにディストリビューションであり、ロジスティックスの
ことになります。私は物流部門の人に対して、「あなたの仕事は、いかに
消費者の手元に商品を届けるかです。そのために自販機が最適であれば、
物流部門が自販機の場所を開拓するべきなんですよ」とよく言っています。
それが本来のロジスティックスの役割だからです。
また、マーケティングの4Cというものもあります。
4Pが売り手目線であるのに対し、4Cは買い手目線です。今の時代は、
4Pより、4Cが適しているように思います。
いくらいい製品を作っても、顧客が価値を感じない意味がありません(顧客価値)。
テレビを観ない人に、テレビは不要です。また、価格は顧客によって価値が
変わります(顧客コスト)。子どもは、160円のペットボトルのお茶を1日に
何本も買いません。広告は相手が見て記憶に残らなければ意味がありません
(コミュニケーション)。朝起きれない人には、朝のテレビコマーシャルは
無意味です。ターゲット客が入手できなければ、買うことができません
(利便性)。若年中所得層対象の化粧品を、高級百貨店に置いても、手に
とってくれることはないでしょう。
ロジスティックスは、4PのPlaceにあたり、4CのConvenience(利便性・
コンビニエンス)にもなります。顧客が欲しいものを欲しい場所で渡せる
ようにしていくのが、ロジスティックスの仕事です。
■ マーケティングの4P
● 1961年にジェローム・マッカーシー(USA)が提唱
製品(Product) 価格(Price)
広告(Promotion) 流通(Place)
■ マーケティングの4C
● ロバート・ラウターボーンが買い手視点を提唱
顧客価値(Customer value) 顧客コスト(Customer cost)
コミュニケーション(Communication) 利便性(Convenience)
この続きは、次回に。